研究課題/領域番号 |
19K00839
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
藤田 賢 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (50804358)
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研究分担者 |
石田 光男 愛知学院大学, 心身科学部, 教授 (00443432)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 一貫性・結束性理解 / テストの妥当性検証 / オンライン測定 / コンポーネントスキル / 視線計測 |
研究実績の概要 |
2年目の研究実績について以下に報告する。まず、予備研究 (藤田, 2019)で作成した英語による一貫性・結束性判断課題、その後、藤田 (2020) で作成した日本語による一貫性・結束性判断課題について、テストの内容的妥当性についての続報である。2019年度には、既に、テストの項目分析と内容的妥当性の検証を行い、適切でない項目の改訂作業は終えた。2020年度は、この間の経緯を論文にまとめ、国内および海外の学会で研究成果の発表を行った。 上記のように完成した英語と日本語による一貫性・結束性判断課題、および、日本人大学生用の英語標準テスト(VELCテスト、金星堂)による英文読解のコンポーネントスキル(語彙、構文文法、英文読解)の測定を2019年度に既に終えていた。2020年度は、これらの測定データを詳細に分析、検討し、学会発表のための草稿を完成させた。しかし、学会そのものが相次いで中止となったため発表はできなかった。2021年度に発表の予定である。 さらに、一貫性・結束性判断のプロセスをオンラインで検証するために、視線計測による課題遂行実験の準備に取りかかった。まず、文レベル以上の読解プロセスを視線計測で検証している先行研究文献の調査を行った。主にオランダ語母語話者の研究に参考となるものが多いことが判明した。その後、本研究で用いている英語での一貫性・結束性判断課題から24項目を精選し、視線計測のためのリージョンを設定した。2020年度末には、実験アシスタントを使って、実験工程の確定、リハーサル実験の遂行を行ったところである。 2021年度には、参加者を募集して、視線計測のデータ収集とそのまとめまでを行う予定である。しかし、試験計測は密室でのデータ収集となることから、新型コロナ感染症の流行状況によっては、もう1年の研究延長も視野に入れる必要があるかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、2020年度の後期には、一貫性・結束性判断のプロセスについて、参加者の思考・判断の実行過程を、思考発語(Think-aloud)、または視線計測(Eye-tracking)によって測定し始める予定であった。しかしながら、2020年度前半の新型コロナ感染症の流行と本学でのそれへの対応業務に追われたこと、参加者となる学生は自宅からのオンライン授業が中心となったことから実験の準備が大幅に遅れた。 2020年度の後半には、徐々に対面授業が増え、学生が登校することが多くなったため、ようやく視線計測の準備作業を始めることができるようになった。視線計測用の英語での一貫性・結束性判断課題の項目を精査し、実際に測定装置を設置し、ディスプレイによる項目刺激の提示ができるに至った。学生の実験アシスタントを交えて、実験のための手順の打ち合わせ、サンプルデータの収集を行ったところである。 2020年度末には、海外の学会で、これまでの研究成果を発表する予定であったが、実際には、2019年度末に積み残した研究成果の発表を優先し、当初の計画より1年遅れとなってしまった。 以上のように、新型コロナ感染症の流行状況により、全体に研究がやや遅れている。今後は、密室での視線計測が中心になることから、最終的には、研究の1年延長を視野に入れなければならなくなる可能性もある。
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今後の研究の推進方策 |
まず、これまでの研究成果の発表・報告について述べる。英語や日本語の一貫性・結束性判断課題の反応時間パラダイムによる研究や、英文読解のコンポーネントスキルとしての一貫性・結束性判断力と、日英でのスキル転移の研究成果については、2021年度の国内、国際学会で発表し、論文にまとめる予定である。研究を要約したものを単行本にしたり、海外ジャーナルに投稿することも視野に検討していくことを考えている。 次に、視線計測による一貫性・結束性判断のプロセスを検証する課題についてである。実験準備を整えたところであるので、次には、参加者を募集して、データの収集、分析へと進めたい。しかしながら、新型コロナ感染症の状況次第では、研究全体を1年延長しつつ、最終報告までまとめる必要があるかもしれない。 また、本学の視線計測機の性能では十分に課題を検証できない可能性も考えられる。その場合には、研究成果を一度まとめつつ、次に装置をよりよいものに代えて研究を継続的に発展していくことも検討しなければならない。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナ感染症の流行により、国内外の学会が相次いで中止、もしくはオンライン開催となったため旅費の使用が極端に少なかったこと、実験の遅れにより人件費・謝金の使用が少なかったこと、一部の実験ソフト、および分析ソフトが無償で入手できたことなどが大きな理由として挙げられる。 今後の使用計画としては、海外の学会への参加費、実験参加者への謝金、実験遂行・データ処理のための学生アルバイト等の人件費、研究成果の書籍化、海外ジャーナル投稿のための英文チェック費用、視線計測や研究成果の英語教育への還元のための図書費などに使用する計画である。
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