研究課題/領域番号 |
19K00843
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研究機関 | 香川高等専門学校 |
研究代表者 |
市川 研 香川高等専門学校, 一般教育科(高松キャンパス), 准教授 (00406547)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 異文化コミュニケーションの理論、実践 / 異文化トレーニング / カルチャー・アシミレーター |
研究実績の概要 |
昨年までは理論編として主として理論フレームワークを固めたわけであるが2020年度は主として実践編を行った。最初に「異文化コミュニケーション教育とその現状」とし、異文化コミュニケーション・異文化トレーニングの教育の背景、現状、議論、課題を概観した。次に高等教育機関にて使用されている異文化コミュニケーション・トレーニング系のテキストに関する調査と分析を行い、教育の現状をテキストを通して分析をし、本研究の基盤となる部分を探った。 のちに実践編としてCAを使用した実証的研究の量的分析を扱った。比較対照実験を行った結果、1年を通じて行った場合は、英語力の向上、エスノセントリズムの減少が確認され、半年で実施した場合は統計上の有意な差は確認するには至らなかった。先行研究では、エスノセントリズムに関しては減少させる効果があると報告されており、今回の結果はそのような先行研究を支持し、この点においては、日本の高専の学生に対しての試みではその効果を見いだす結果となった。 続いて実践編の中でも質的分析を扱い、量的分析では見いだせなかった形について質的調査の観点から分析を行った。手法として授業における観察法、質問紙調査、インタビュー調査の3手法を用いて実施した。結果として、肯定的、好意的な意見が複数あり、概して良好な結果を得ることができたと言えるかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は実践編のため、事前準備が主として必要とされる年度であったが、生命倫理委員会への申請をはじめ何とか進めることができた。本来であれば勤務校の業務に忙殺されて研究の停滞も予想されたが、ある程度の時間を頂く事が出来、幸運であったと思う。そのため2本の論文を発表することもできたので順調であった。あとは海外の現地視察に関して実施できればよいのであるが、コロナウイルスの影響で延期となった点は残念であった。
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今後の研究の推進方策 |
およその実践編は進んだわけであるが、続編として実証研究の事後検証を行いたい。CA実施のその後の波及効果などを調査し、一種のフォローアップとなる内容である。CA授業の受講の有無に分けてその後の異文化トレーニングの成果(対異文化寛容性、コミュニケーション能力など)や英語学習に対する動機づけなどには変化が生じたのか、またどのような影響がでたのか、などを海外短期研修に参加した学生達に対してインタビューを行う形で実施ができればと考えている。予想とする結果は、「以前受講したCAの有効性は認められるか」、「どの点において何らかの影響を与えた可能性があり、また短期海外研修を経て異文化に対する対処力の向上は見られるのか」、との問いには、原因帰属の柔軟化や自己存在確認、内省的思考という観点から見た場合、おそらく向上したと考えられるような結果が出現すれば理想的である。加えて、言語(英語)学習に対する動機づけについても考察し、ここでの調査範囲内では向上したであろうと考えられる、との結論が出ることが望ましい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は海外現地調査の一部が、コロナウイルスの影響で実施できず、次年度に延期となった。その費用分に関しては次の年に繰り越しとなった。
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