研究実績の概要 |
最終年度では、前年度に続き、第二言語(L2)動機づけ自己システム(Dornyei, 2009, 2020)の要素であるL2使用者としてのビジョンや、エンゲージメントに特化したL2学習経験が、L2学習におけるボイヤンシー(buoyancy)にどのような影響をもたらすかについて明らかにすることを目指した。ボイヤンシーとは、学習が停滞したときに回復をもたらし、学習目標への到達に向けて辛抱強く取組むことができる力である(Martin & Marsh, 2008, 2009)。先行研究のレビューから、研究代表者と研究協力者は、(1)L2学習者のパーソナリティが、L2理想自己やL2義務自己といった自己指針(ビジョン)とエンゲージメンできたL2学習経験にどのように関わっているか、(2)(1)のパーソナリティとL2動機づけ自己システムが、ボイヤンシーにどのように関わっているか、これらのリサーチクエスチョンを立てた。 上記のリサーチクエスチョンに沿って、研究代表者と研究協力者は、日本で英語を学ぶ日本人青年期層への質問紙調査を実施し、量的データを収集した。収集したデータを用いて、記述統計・相関分析・重回帰分析等を実施した。その結果、(1)に関して、外向性・開放性と、L2理想自己・エンゲージメントには相関関係がみられ、また、調和性とL2理想自己にも相関関係がみられた。(2)に関して、これらのパーソナリティ特性やL2動機づけシステムの要素に加え、誠実性とボイヤンシーに相関があること、さらに、L2理想自己と誠実性が、ボイヤンシーに直接の影響力があることが示された。 以上の研究過程・成果に関して、研究代表者と研究協力者は、「全国英語教育学会第46回長野研究大会」と、国際会議「19th Asia TEFL International Conference 2021」で口頭発表を通じて公表した。
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