研究課題/領域番号 |
19K00861
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
佐藤 玲子 明星大学, 教育学部, 教授 (20735039)
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研究分担者 |
山口 真佐子 明星大学, 教育学部, 教授 (30833107)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インクルーシブ教育 / 英語教育 / アセスメントツール / 特別なニーズ / 自立活動 / 足場架け / 学習者の多様性 / ユニバーサルデザイン |
研究実績の概要 |
2019年度は,教員が児童生徒の特別なニーズを把握するために利用できるアセスメントツールとして観察項目表を開発して,予備調査として(学校長・保護者・児童本人から研究協力の同意を得た上で)児童5人にその観察項目表の実施と日本版感覚プロファイル(SP)とWIXC-Ⅳの結果との照らし合わせを行った。また,英語教育における足場架けモデルの構築のために,特別なニーズに合わせた支援や配慮・工夫についての調査を,通常教室・特別支援学級・特別支援学校での英語の授業観察と都立特別支援学校57校を対象としたアンケート調査とで実施した。 観察項目表は,児童生徒の感覚や認知の困難に焦点をあて,自立活動「環境の把握」の内容を観点として57項目(学習場面32項目,生活場面25項目)を設けた。今回の調査では,観察項目表を使っての結果と対象児童が受けたSPやWISC-Ⅳの結果との間に関連が見られた。 特別支援学校を対象にしたアンケート調査では,40%(57校中23校)の回答があった。英語の授業を一つ取り上げてもらい,その指導案に児童生徒の様子を書き加えて貰うようにした。授業観察では,本研究者が関わっている特別支援学校や特別支援学級,特別のニーズが多い通常教室で,教員の働きかけに児童がどのように反応するかを記録した。視覚的刺激や聴覚的刺激に対する感覚の違いや言葉とその概念理解,思考力の面において,ニーズ合わせた配慮や支援が必要であるが,児童の反応の共通点としては,ことばの意味がある「やり取り」の場面で,児童・生徒が考え自ら答えにたどり着くようにすることで,活気や積極性が出ることであった。研究結果は言語教育エキスポ2020予稿集で報告した。 今年度は,小学校3,4年生を対象に観察項目表の信頼性・妥当性の検証する予定である。また,国内外の学校視察をして情報収集・分析し,足場架けモデルの構成要素を抽出する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学校現場での英語教育の実態調査については,今年度アンケート調査を行い,次年度予定の研究の前倒しスタートをしている。 開発している観察項目表の妥当性・信頼性の検証であるが、統計的な検証ができていな。妥当性を調べるためには倫理的配慮をしなければならない調査であること、協力の承諾を貰えたのは5人であった。また、COVID-19の影響を受けて休校となり、調査実施の児童を増やすことが出来なかった。そのため、今年度の計画に遅れが出た。 承諾の貰える被験者の幅を可能であれば広げて,妥当性の検証をしたい。その上で,協力校で実用性を調査したいと考える。,
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今後の研究の推進方策 |
(1) 開発した観察項目表の妥当性・信頼性を検証し,研究協力者や協力校で実用性を検証する。 (2) 英語教育・授業の実態把握のため、国内外の学校視察し,情報収集および分析をする。 但し、現在COVID-19の影響を受けて移動の自粛や学校の休校等で,国内外の視察時期は,早くとも秋以降となると思われる。 (3) 2019年度の都立特別支援学校を対象としてアンケート調査のデータから,この研究で構築しようとしている足場架けモデルの構成要素を抽出する。 (4) 日本特殊教育学会,全国英語教育学会等で研究発表し,成果報告をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費・謝金,交通費,物品購入で,次年度使用額が生じた。データ集計・分析を研究代表と分担研究者とで行ない人件費の節約できたことや、3月に予定していた研究調査や協力者会議ががCOVID-19の影響で出来なくなり,交通費がかからなかったことや謝金が未使用になったことと研究に必要とする物品の選別が出来ず未購入のためである。
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