研究課題/領域番号 |
19K00861
|
研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
佐藤 玲子 明星大学, 教育学部, 教授 (20735039)
|
研究分担者 |
山口 真佐子 桜美林大学, 健康福祉学群, 特任教授 (30833107)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 英語教育 / インクルーシブ教育 / アセスメントツール / 特別なニーズ / 自立活動 / 足場架け / 学習者の多様性 / ユニバーサルデザイン |
研究実績の概要 |
2021年度は、研究の焦点を以下のように定め、調査・考察を行った。 (1)児童生徒の特別なニーズを把握するための観察項目表の改訂:児童生徒の不適応行動の背景「感覚処理の困難」(自立活動「環境の把握」の観点)に焦点をあて,教師にとって実用的で客観的に評価できるツールの改善・完成を目指す。(2)通常教室での特別なニーズへの英語学習支援・指導のあり方の調査:英語活動における対象児童の様子や「観察項目」の結果から,学習の前提となる感覚処理の問題,情報処理過程の問題に接近した授業アプローチを検討する。 研究の方法として, (1)①既存のアセスメントツール(日本版SP感覚プロファイル,WISC-Ⅳ)を比較し,k観察項目(情報処理・感覚・思考/判断・記憶)を学習面・行動面で作成 ②指導者の使い易さの調査・分析した。(2)①学習者の情報処理過程の問題点把握のためにHRTおよび英語専科教師6人が評価した観察項目, ②個の弱点に対応した指導・児童の反応を知るための英語活動における対象児童の観察記録と教師の教育・指導についての内省文からの分析を行った。 その結果として(1)既存のアセスメント結果と観察項目の結果に共通点がみられ,観察項目で学習者の困難が浮かび上がった。(2)担任以外の指導者は観察項目表への回答でチェック困難な項目があったが、評価に影響はなかった。(3)観察項目表を使用することで,客観的に児童を捉えることができた。(4)注意持続時間・場面の切り替え・他者の気持ちの受け入れ・ルールへの気づき等の問題点に対して,個の特性に応じた声掛けや集団学習法・タブレット等の活用による学習態度の積極性改善が報告され,個に応じた指導の在り方への示唆が得られた。 研究成果は、日本特殊教育学会第59回大会および、第21回小学校英語教育学会JES関東・埼玉大会で報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年からのコロナ禍で、国内外の学校・授業視察や対面での討議ができず、Zoom等の遠隔ミーティングでは限界があるため、データ収集に支障が出てきている。そのため、具体的な支援・指導のあり方がまとめきれていない現状である。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)観察項目を精査し,英語教育に特化した下位項目を作成しする。その観察項目表を用いて児童生徒の特別のニーズを把握し,個別指導計画を立てて指導と振り返りを行い,有効性をみる。 (2)開発した観察項目表の改善版の有用性を検証する。特別のニーズがあると思われる児童生徒と思われない児童生徒両者(約300名)を対象に,観察項目表を用いて各項目を観察・評価し,データを収集し統計分析をする。 (3) 英語教育・授業の実態把握のため,国内外の学校視察し,情報収集および分析をする。但し,現在対面式授業となってきたが,国内外の視察は,新型COVIDの感染拡大や防止のための移動や学校訪問の自粛等の状況を見て判断したい。 (4) 今までの研究データの分析結果・考察から,この研究で構築しようとしている足場架けモデルの構成要素をまとめる予定である。 (5) 日本特殊教育学会,小学校英語教育学会等で研究発表し,成果報告をする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2000からの新型コロナ禍により、国内外の学校・授業視察の実施が不可能であったことや、また、学会の研究大会およびセミナーや研究会等がすべてオンラインになったこと、その結果データ収集に支障が生じデータ処理の人件費や交通費・宿泊費の予算が未使用である。次年度に、国内外の学校・授業視察が可能になれば、その予算をあて視察を実施する計画である。
|