研究課題/領域番号 |
19K00880
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大年 順子 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 教授 (10411266)
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研究分担者 |
五十嵐 潤美 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 講師 (90711622)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アカデミックライティング / 参考文献の引用 / アカデミックリテラシー / argumentative writing / knowledge transforming / writer stance / summarizing / paraphrasing |
研究実績の概要 |
一般教養の英語ライティング授業になかで,参考文献を適切に引用するための効果的な指導法と活動案を提言していくことを目指している。まず,初年度に実施できた研究は,大学1年生対象のargumentative essaysのintroductory paragraph のテキスト分析である。Introductory paragraphの要素には,Hook,Background Information, Motive, そしてThesis Statementの4つがあげられる。この4つのうち,Pre-writing およびPost-writingでは,Thesis Statementの所在がどちらも認められるが,HookやMotiveは,ライティング指導後のPost-writingでも,Introductory Paragraph に入れることは難しいと推察された。また,Post-writingで飛躍的にBackground Information の記述が伸びたものの,その反面Thesis Statement が遅れたり,また不明確になることが分かった。1年次生のライティング指導で参考文献を用いるのであれば,Hookにおいてで,関連のリーディングパッセージ等を活用することなどが提言できる。またMotiveについては,議論を展開するうえで,重要なレトリック要素となることを,意識的に指導することが重要であるとの考察に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度には,英語および日本語論証文の参考文献の扱いについて,どのようにwriter stance (執筆者がどういう姿勢で参考文献を扱っているか)に差異があるかを検証する予定であった。しかし,英語によるリサーチペーパーライティングの授業では,参考文献に関するアケート調査を実施したところ,第2言語としての英語ライティング学習に取り組む受講生の困難さが,【英語のレトリック】と【言語的な差異】によるものであることが分かり,その2つの指導に終始し,writer stance までは説明しきれなかった。一方,日本語論証文においても,writer stanceを十分に説明しきれないまま,最終課題として論証文を執筆させたため,日本語論証文を使用してのデータ収集ができなかった。このように,当初の研究計画と現実の授業での指導状況に差異があり,研究計画を今一度見直す必要が生じていることから,【やや遅れている】と判定した。
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今後の研究の推進方策 |
Argumentative writing の中で,introductory paragraph のテキスト分析は最もレトリックの特徴を把握しやすく,また学習者に具体的な指導や提言ができるパラグラフである。introductory paragraph の構造分析を行い,どこに参考文献を取り入れるべきかを2019年度に研究調査ができたため,まず,この研究の成果の一部をJACET関西ライティング指導研究会の例会で発表したり,紀要等に投稿したりする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定されていた学会実施が中止となったため。
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