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2022 年度 実施状況報告書

戦後台湾の英語教育の実証的研究ー教科書題材内容研究を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 19K00887
研究機関北里大学

研究代表者

平井 清子  北里大学, 一般教育部, 教授 (60306652)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード台湾 / 英語教育 / 教科書 / 高等学校 / 題材内容 / 課程標準(綱要) / 思考力 / 発問・タスク
研究実績の概要

本年は3年の研究期間を1年延長した年度となる。3年の研究期間であったものの,COVID19 感染拡大のために20年度,21年度が渡航不可能となり,実態調査に関わる部分が実施できなかったために延長とさせていただいた。その他の研究は予定通りに進行した。
昨年は1962年「課程標準」準拠版教科書の計量的・質的調査分析とその編著者である英千里の研究,そして今一つは,戒厳令解除後の,大きな改革が始まる1990年代以降の教科書に見られる変化と特徴を考察した。これは現在の英語教育に続く重要な改革の一つとなる。
これに続き,本年は英千里が台湾英語教育においてどのような位置づけになるのかを,その当時の台湾の英語教育者との関わりと,それぞれの編纂教科書からそれを裏付けることを試みた。2022年11月末,そして2023年2月にはようやく現地調査を再開でき,念願であった輔仁大学では,現地でしか入手できない資料により,英千里についてのこれまでの調査分析の裏付け,並びに補完をすることができたのは大きな収穫であった。
また,戒厳令解除後の教科書題材内容と,指導法における発問・タスクの調査分析では,昨年行った「文学的題材」に続き,「政治・社会的題材」における指導方法や特徴を明らかにし,教科書研究を全体的に行うことができた。さらに,戒厳令解除後の教科書に見られる題材内容に「環境問題」が多いことに着目し,これが民主化と補完関係にあり,台湾社会の民主化にとって重要な問題であることが示唆された。これにより,社会および政治的な要因が教科書編纂に関わっていたことが明らかとなった。
一方,日本の新課程の高校英語教科書のパイロット・スタディを行い,台湾の教科書の優れた点をどのように日本の教科書へ応用できるかを検討した。これら研究成果を学会で口頭発表をした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年は,3年目に予定していた,本研究に関連のある時代の中国,そして日本の教科書の調査を概ね達成することができた。その他,昨年に引き続き1960年代の台湾の英語教育者,教科書編纂者の英千里と日本との関係,および日本の教科書からの引用などに着目して研究を進めることができた。
2022年11月末,そして2023年2月には台北市,新北市にて現地調査をすることができ,輔仁大学で初めて資料収集ができた。3年間で予定した研究計画は,最後の実態調査を残しほぼ完成した。題材内容研究にとどまらず,戒厳令解除後の1995年,2008年準拠版教科書においては,「政治・社会的題材」を使用した発問,タスクについての分析調査を改めて行うことができた。日本の高校英語教科書については新課程のものとの比較のパイロットスタディを終了した。

今後の研究の推進方策

来年度は,コロナがようやく収束したので,何度か台湾に赴き,実態調査を行う予定である。これまでの研究から得た知見により,社会・文化的,政治・経済的、歴史的観点からの質問紙,聞き取り調査を加えて,対面にて大学の教授陣や現地の高校の教員へ聞き取り調査を行い、実態調査を重ねる予定である。国家教育研究院教科書図書館では「課程標準」「課程綱要」の詳細な記載やこれまでに出た確認の必要な部分などをダブルチェックする作業を完了する。本年度末にようやくできた輔仁大学での現地調査をさらに深めるなど実態調査を重ね,これまでの研究の総括を行う予定である。
日本の新課程の高校英語教科書の調査分析を進め,本研究で明らかとなった台湾英語教科書の優れた点を,いかに応用できるかを,本研究で得られたその根底に流れる歴史的な要因を考慮しながら提案する。その理論的背景も含め学際的視座で本研究の総括をする。それを国内、外の学会で発表する。

次年度使用額が生じた理由

2020年度~2022年度に予定していた,台湾実態調査,および,国際学会での発表等が新型コロナ感染拡大抑制のため実行できませんでした。このため,予定していた旅費の使用ができなかったため,次年度使用額が生じました。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 書評:林初梅・所澤潤・石井清輝編著『二つの時代を生きた台湾:言語・文化の相克と日本の残照』2022

    • 著者名/発表者名
      平井清子
    • 雑誌名

      アジア教育

      巻: 16巻 ページ: 112-113

    • オープンアクセス
  • [学会発表] バイリンガリズム研究会紹介―TranslanguagingとBilingualism2022

    • 著者名/発表者名
      平井清子、河野円、清水友子、蒲原順子
    • 学会等名
      The 61th JACET International Convention (Online, 2022) JACET Hours
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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