研究実績の概要 |
本研究は、理論言語学および応用言語学双方の視点から、英語と日本語のモダリティに関する言語現象を比較分析し、モダリティを含む文の生産、解釈されるプロセスにおいて、どのように認知と運用システム上の要素が影響を及ぼすかを分析考察し、日本語母語話者による英語の言語習得のプロセスを探ることを目指す。 話し手の判断等を示す、認識的解釈の法助動詞について、態や時の副詞との関連を探った松谷(2021)では、表現者の判断、感情等認識的解釈(神尾(1989),久野(1990),高見(2011)等参照)はどのようにして生じるのか等に関して英語、日本語のデータを比較分析し、統語・意味・運用の要素が融合しているExclamation feature(E-素性)でのCP照合が話し手の心的含意を生み出すことを明らかにした。 この見解をふまえて、モダリティの習得プロセスの背景を明らかにするために、英語の時の副詞の中でも特にalready, still, yetを含む文における表現者の認識的解釈について、英語母語話者にオンライン上での聞き取り調査を行うことでデータを収集した。そして、これら副詞の階層上の位置関係と表現者の心的含意の度合いの関連性、そして文脈との関係について、統語論(Cinque (1999))、意味論(Hornstein (1977, 1990), )、認知言語学(Moriya & Horie (2002))の視点から分析考察した。また、yetのconjunctionとしての統語的な特徴と認識的解釈との関連性について、分析考察した。
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