研究課題/領域番号 |
19K00893
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
生駒 美喜 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90350404)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ドイツ語心態詞 / パラ言語情報 / プロソディ / 音声習得 |
研究実績の概要 |
本研究は、ドイツ語の心態詞を含む発話におけるパラ言語情報(話者の発話意図)とプロソディを中心とする音声特徴について、ドイツ語母語話者(L1)およびドイツ語学習者(L2)がどのように発話を行い、知覚を行うのか、共通する特徴、異なる特徴は見られるのか、また学習者の発話・知覚は、学習の経過と共にどのように変化するのかを明らかにすることを主たる目的としている。 2021年度前半は6月~7月にかけて、ドイツ語学習者(初級および中上級)を対象に、発話実験および知覚実験を実施した。また2019年度~2020年度にかけて行ったドイツ語母語話者を対象とする実験で得られたデータを再分析した。2021年度後半は、12月~1月にかけて、前半の実験に参加したドイツ語学習者を対象に発話実験および知覚実験を実施した。 学習者を対象とした発話・知覚実験のデータの分析は2022年度前半に引き続き行い、2022年8月にウィーンにて開催されるIDT(国際ドイツ語教員学会)にて成果発表を行う予定である。 ドイツ語母語話者の発話の再分析により、同じパラ言語情報を含む発話であっても、文の音韻構造によって、アクセントの置かれる位置が異なることが明らかになってきた。具体的には、「反論」の場合に心態詞が発話末に来る場合にはアクセントが心態詞に置かれにくく、心態詞が発話文中に位置する場合には心態詞自体にアクセントが置かれるという傾向が見られた。本分析結果については2021年9月に開催された日本独文学会語学ゼミナールにて発表を行い、論文を投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度に実施した学習者を対象とする発話実験、知覚実験の分析と取りまとめは2021年度中に実施する予定であったが、新型コロナウイルス拡大により、研究補助を雇用することが困難となった。そこで2022年度前半に2名の研究補助を雇用し、集中的に分析作業を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に実施したドイツ語母語話者を対象とする複数の発話文の分析により、同じ状況の発話であっても、発話文の音韻構造が異なる場合に、アクセントの位置が変わることが明らかになった。この現象についてさらに詳しく分析を行うため、異なる位置にアクセントを置いて母語話者が発話した複数の音韻構造の異なる発話文を用い、ドイツ語母語話者を対象として大規模な知覚実験を実施する準備を進めている。 また学習者の音声データについては、現在集中的に分析作業を行っている。また2022年6月~7月にかけて、2021年に実験に参加したドイツ語学習者を対象に再び同じ手順・実験文を用いて発話実験・知覚実験を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は新型コロナウイルス感染拡大が続いている状況下で、海外で開催される国際会議での成果発表が困難となった。このため海外出張のための旅費が未使用となっている。2022年度はドイツ・ベルリンにて資料収集、データ収集を行い、8月にウィーンにて開催される国際ドイツ語教員学会(IDT)にて成果発表を行うため、海外出張旅費として2021年度未使用分を支出する予定である。
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