研究実績の概要 |
初年度(令和元年度)は『英語多義ネットワーク辞典』と『プログレッシブ英和中辞典 第五版』において培った句動詞に関連するリソースの再加工と例文素材の収集の時期と位置づけ、辞書の記述から教材への再加工は、まずその枠組みを確定するための、綿密な議論・検討が必要となるため、例会を開き、検討を重ねた。最初に着手したのは、中学生から大学受験生までを主な読者層として市販されている英語句動詞の参考書として、現在入手可能なものを片端から買い揃え、その編集方針、解説方針、レイアウトも含めて、ひとつひとつの長所短所をリストアップすることだった。そこには大きく2つの編集方針が見られた。 ひとつは動詞を中心とし、get up, get out, get on, get along, get down といったように動詞を見出しとして立てて整理して解説するもの。もうひとつは、get up, take up, break up, come up, go up, bring upといったようにparticle(不変化詞)を中心とし、使われる不変化詞を見出しとして立て、整理し、解説するパタンである。本研究では「アニメで学ぶ英語多義前置詞ネットワーク辞典」との連携を通じて、さらに効果的な学習システムの構築を目指す立場から、後者の編集方針を採用することになった。 2年目となる令和2年度はコロナ禍に見舞われ、定期的に例会を開くこともままならず、コンテンツの執筆は思うように進んでいないのだが、そんな中とくに取り組んできたのは、やはり『英語多義ネットワーク辞典』で構築した前置詞のネットワークを生かして、前置詞のスキーマが句動詞の意味の展開に与える影響をなるべくわかりやすく解説することだった。3~4コマからイラストに音声解説を付けることとし、現在はひとつひとつの句動詞にどのようなイラストが適切かについて詳細な議論を少しずつ積み重ねている。
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