韓国語の能力測定のためには,様々な角度からの測定が必要であり,聴解能力の測定もその1つである。従来,聴解能力の測定といえば,まとまったスキットを聞かせて,内容理解を問うような形式やディクテーションのような形式のものが多かった。本研究では,内容理解よりも前段階にあたる,構文理解の能力を測定するために,1文ずつの文を聞かせ,その内容を瞬時に判断して正誤を解答し,その結果によって,文理解を判断する「聴解性文理解」の診断テストである点で画期的である。まず,使用される語彙を,韓国語能力検定試験(TOPIK)の基準に従って,初級・中級・上級に分け,そして,文の形式を,形容詞文と2項動詞から3項動詞の文を用意し,受動態・使役態・かき混ぜ文の形式に分けて,それらの聞き取りができるかどうかで,どの程度の韓国語の構文力があるかどうかを診断するのである。開発には「SALA失語症検査」キッドをモデルに,絵を作成し(著作権上,絵は独自に作成),Pythonのプログラムを用いて,オンライン化を行った。オンライン化の際には,視覚的(つまり,文章が提示される)に判断できるセクションと,聴覚的(つまり,音声が提示される)に判断されるセクションの2つを作成した。解答の仕方は,視覚セクションも聴覚セクションも,タッチパネル式のPCの画面に現れた4枚の絵の中から正解をタッチして解答ができる仕組みとなっている。このように,音声を聞いて絵をタッチする形式にしたことによって,ハングル文字の習熟が不十分な初級学習者も被験者とすることができる点において,このシステムは優れている。診断結果は,即時に,プログラムで分析され,各項目の正答率,全体の正答率がエクセルファイルに算出される。本研究では,これらのシステムの開発を完成させることができた。
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