研究実績の概要 |
本研究の目的は、学生が英語多読を行う際、負荷や制限を設けた場合にどのような結果がもたらされるかを考察することである。最終年度は、3年間の結果をもとにさらなる検証を進め、最終分析を行った。Day and Bamford (1998)のten principlesを参照し、多読の原則にも注意を払っていった。主なものとして、好きな書籍を選ぶこと、つまり自由選択。そして、自身の成長を多読を通して感じてもらうことであった。 さらに、この研究を行う中で頭に入れておかなければならないことの一つは、言語の違いによる母国語転移や母語干渉だった。実証研究の結果、そのようなケースが見られた場合は、van Ek & Trim (1991, 2001)などを参照し、解釈の助けとした。例として、日本語でいうジャンルは、英語でgenre,ガレージは、garageとかなりの違いがある。そういった目で見る際での違いを認識することの難しさ、認識の甘さが露呈された。こういった点は、音声が加わるとさらに難易度が上がる可能性もあり、今後の課題としたい。 この4年間の主となる研究結果としては、パイロットで行ったNakanishi(2018)の結果と同様のものとなった。被験者は206名でグループを二つに分け、それぞれに多読に関する制限を設けたものと、制限のないグループでの比較を行った。結果は、制限を設けたグループの方が全体的な冊数では、それほどの違いがないものの、総語数で勝っていた。アンケートの結果からも、制限を設けることによる弊害はなく、より多く多読に取り組むには、制限を設けることも可能性の一つだと示唆された結果となった。今後は、学会発表も計画している。そして、最終結果を学会誌に投稿する最終段階に入っている。
|