研究課題/領域番号 |
19K00929
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
吉田 弘子 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (50449857)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多読 / 多聴 / オンライン多読 / 音声ペン |
研究実績の概要 |
研究2年目の2020 年度(令和2年)はコロナ拡大によるオンライン授業導入のため、クラスルームでのアクションリサーチ実施を想定していた当初の研究計画は遂行が不可能になった。そこで、オンライン授業においても研究実施が可能な研究計画3年目に予定していたe-Book利用による多聴・多読指導を実施した。教材として多読多聴システムe-station(コスモピア社)を導入し、授業内外でオンラインでの多読と多聴を実施し、学習者が読み聴きした本や読了総語数を収集した。また、授業最終日にアンケートを実施し、e-Bookを用いた多読多聴の取り組み実態を調査した。一年間の実施を通して、e-Bookによる多読多聴は、学生の学外でのデータ通信可能状況に影響されるため、各学生のオンライン学習環境が担保できなければ授業として全員が実施することは難しいことが明らかになった。また、e-Bookのオンラインサイトの利用方法の習熟には個人差が大きく、コンピュータに習熟していない学生にとって、読み・聴くを実施する準備に予想した以上に時間がかかる場合もあった。使用法の指導が授業内多読の時間の大半を占める学生もあり、e-Bookでのオンライン多読多聴のみを実施するのは図書館において多読多聴が実施できる環境が整っているのであれば、単独利用よりも補完的に用いて指導することが望ましいと考えられる。 一方、研究代表者はオンラインで開催された日本多読学会(JERA)、American Association of Applied Linguistics (AAAL)において研究結果を発表した。またJACET関西リーディング研究会にてゲストスピーカーとして多読及び多聴の実践について発表し、多聴多読研究についての意見交換を実施した。さらに、質的研究のソフトウエアのオンラインセミナーに参加して新たな分析方法を学んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で大学での授業がオンラインとなり、対面授業での研究を前提とした研究計画に制限が発生し遅れが生じている。年度別の計画に配慮しつつも、事情が許す限り実施可能なものから遂行している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度(令和3年)は、2019年度に実施したOxford Reading Tree (ORT)音声ペンを用いた多読多聴指導をさらに発展させ、アクションリサーチを実施する予定に変更する。これは当初研究2年目の計画を発展させたもので、ORT音声ペン利用による多聴多読指導を実施し、学習者が読み・聴きした本や読了総語数を収集する。また、外部テストによる事前・事後テストを実施する。さらに、アンケートや観察などに基づき、質的研究分析対象とする学習者を選びインタビューを実施する。これらの量的データ並びに質的データの分析を実施し、多聴の導入によるクラス全体と個別学生の多読への影響を分析する。なお、図書館と連携をとり、学生が利用する図書館での多読本や多聴ツールの除菌などに努め、コロナ下においても安心して多読多聴ができるように配慮する。ただし、これらは対面授業が可能であり、大学でのアクションリサーチを実施することが可能であることを前提にした計画であり、さらなるコロナの拡大により変更の可能性もある。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学での対面授業がなくなり、オンライン授業となったためアクションリサーチ方法の変更を余儀なくされた。また、国際学会と国内学会がオンライン開催となったため、旅費に剰余が生じた。これらはコロナ後に対面授業や学会が再開された場合の研究費用として使用したい。
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