研究課題/領域番号 |
19K00930
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
玉巻 欣子 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (50461182)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 米国薬学部 / カルチュラル・コンピテンシー教育 / アンケート調査 / 薬剤師 / 薬学英語教育 |
研究実績の概要 |
社会のグローバル化に伴い、薬剤師が異文化対応能力を有する重要性が高まっている。しかし日本の薬学教育カリキュラムの中で、異文化対応力を学ぶことができる科目はまだ数少ないと思われる。そこで薬学英語教育でも異文化対応力向上に対応したプログラムを構築できる可能性と必要性に着目した。本研究は、多民族国家米国の薬学部におけるカルチュラル・コンピテンシー教育の実態と日米薬剤師の外国人患者対応実態を調査し、そこから得た知見を日本の薬学英語教育に取り入られないかを検討する。日本の薬学英語教育において異文化対応力向上を目指す可能性と方策を明らかにすることが本研究の目的である。研究結果を薬学英語教材開発につなげることも視野にいれている。 研究の第一段階として、米国の薬学部におけるカルチュラル・コンピテンシー教育科目で使用されている教科書と米国の薬学部のウェブサイトに公開されているシラバスから、米国大学においてどのようなカルチュラル・コンピテンシー教育が実施されているのかを調査する。2019年度から2021年度まで継続して行う。第二段階は、日米の薬剤師が経験している異文化対応実態に関するアンケート調査の準備である。アンケート調査項目の精査、調査方法の検討を行う。これも2021年度まで継続して行う。第三段階はアンケート調査の実施と回答の分析であり、2021年度中に実施する予定である。 本研究では私の所属大学が展開する海外薬学研修において、米国の薬局へのフィールドワークや薬科大学での交流を実施し、その活動の中で日米の学生の意識調査も行っている。2019年度は日本人学生が米国人薬剤師の対応について感じた文化的相違や、米国の学生が日本人学生について感じた文化的相違についても意識調査した。更に、現地薬科大学を訪問し、カルチュラル・コンピテンシー教育の実施状況について教員に聞き取り調査も行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
日米の薬剤師の外国人患者対応の実態調査 2019年度は薬剤師に対するアンケート調査方法を検討し、2020年度にアンケート項目を作成し、2020年度中にパイロット調査までもっていきたいと考えていた。しかし2019年度末から始まった新型コロナウイルス感染拡大の影響により、予定通り調査を行うことができていない。2020年度は日米ともに緊急事態宣言が宣言されるレベルの非常事態であったため、医療機関である薬局対象のアンケート調査を実施することができなかった。 またコロナ禍で海外渡航ができないため、アメリカの薬局と薬科大学の現地調査も行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1) 米国の薬科大学でのカルチュラル・コンピテンシー教育の実態調査 2021年度も継続して、米国薬学部で使用されるテキストや学術論文などの文献調査と、米国の薬学部ウェッブサイトによる調査を行い、米国大学でのカルチュラル・コンピテンシー教育内容についての検証を続ける。 2) 日米の薬剤師の外国人患者対応の実態調査 アンケート項目を完成させ、2021年度半ばには小規模でパイロット調査を行い、年度末には本調査を実施したいと考えている。 3) 2019年度に実施した米国人・日本人薬学生対象のアンケート調査結果を論文にまとめたいと考えている。 4)2021年度内に新型コロナウイルス感染が収束しなければ、アメリカに赴いての現地調査は断念せざるを得ないかも知れない。その場合はアンケート調査のみでの実態調査となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、当初データ処理用に購入を予定していたノートパソコン1台を購入した。 しかし、アメリカでの現地調査用に申請していた科研費は、海外渡航が不可能であったため、全く使用できていない。2021年度も新型コロナウイルス感染拡大の状況が許せば現地に赴きたいと考えている。
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