研究課題/領域番号 |
19K00930
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
玉巻 欣子 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (50461182)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 米国薬学教育 / カルチュラル・コンピテンス教育 / アドバンスト実務実習 / 異文化体験 / 外国人患者対応 / 薬剤師 |
研究実績の概要 |
2022年度は、カルチュラル・コンピテンス教育に関する文献調査の継続および、米国の薬学部で実施されているカルチュラル・コンピテンス教育についてオンラインでの実態調査を実施した。 カルチュラル・コンピテンス教育に関するオンライン実態調査の詳細:American Association of Colleges of Pharmacy (AACP, 米国薬科大学協会)所属142薬学部の公式ホームぺージを閲覧し, 海外留学や異文化教育などの記述の有無とその内容を調べた。またその薬学部PharmDコースのカリキュラムにおける海外留学や海外研修制度の有無,海外での実務実習の有無とその内容を調べた。 その結果、米国の薬学部では海外研修制度や「異文化理解」などの授業科目を有する学部は無かった。これはPharmDコースが大学院教育であるためであると考える。薬学部PharmDコースにおけるカルチュラルコンピテンス教育の最大の特徴は, 4年次に6週間×6ラウンド実施されるAdvanced Pharmacy Practice Experiences (APPE,アドバンスト実務実習)のうちの選択実務実習(2ラウンド)の実習先として海外での実習を認めていることであった。この調査結果は、2022年10月東京での日本社会薬学会第40年会においてポスター発表した。 2022年度は更に、本研究当初予定していた「米国薬剤師の外国人対応実態調査」を、より実行可能な「MCPHS大学学生のアドバンスト実務実習における外国人対応調査」に変更し、準備を進めた。本研究開始時に研究協力者であったMCPHS大学Kathleen Head氏が退職したため、新たに研究協力者となったMCPHS大学Stephen Kerr教授、Nancy Stern教授と共に2023年度実施に向けて調査研究の実施方法について検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各研究項目の遅延理由: 1) 米国薬剤師の外国人患者対応実態調査:本研究当初の予定では2019年度に研究計画作成、2019-2020年度にMCPHS大学の実習先の薬剤師を中心にアンケート調査を実施する予定であった。しかし2019年度末から始まったパンデミック対応のため研究計画作成が難しく、2021年度まで米国の薬科大学をはじめ薬局などの医療機関でのアンケート調査実施がほぼ不可能となった。2022年度に入り漸く当初予定していた調査に着手できたところである。「米国薬剤師の外国人対応実態調査」をより実行可能な「米国薬学生の外国人対応調査(MCPHS大学学生のアドバンスト実務実習における外国人対応調査)」に変更し、準備を進めた。 2)日本の薬剤師の外国人患者対応の実態調査:上記米国における調査遅延理由と同様、パンデミックのため薬剤師の方々へのアンケート調査を実施することができず遅延している。更に研究協力者である田内義彦教授が所属研究機関(神戸薬科大学)を異動されたため研究計画の見直しが必要となったことも遅延理由の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
1) 米国薬学生の外国人患者対応実態調査:MCPHS大学Stephen Kerr教授、Nancy Stern教授と共にアドバンスト実務実習を終了したMCPHS大学の専門教育4年生対象に、実習中に経験した異文化体験・外国人対応経験についての調査を実施する。 調査実施に向けた推進方策:2023年8月までにアンケートを作成する。MCPHS大学、神戸薬科大学の研究倫理審査委員会の承認を取得する。2023年10月-12月にオンラインによりアンケート調査を実施する。2024年1月-2月に調査結果分析、2024年2月末-3月に顕著な異文化体験をした学生に詳細な情報の聞き取り調査を実施する。科研費を使用し玉巻が渡米して現地で対面で調査を実施する。渡米時期については進捗状況に応じて調整する。 2)日本の薬剤師の外国人患者対応の実態調査:研究協力者である武庫川女子大学薬学部田内義彦教授の協力を仰ぎ日本国内の薬剤師を対象に業務中に経験した異文化体験・外国人対応経験についての調査を実施する。 調査実施に向けた推進方策:2023年12月までにアンケートを作成する。神戸薬科大学の研究倫理審査委員会の承認を取得する。2024年1月にオンラインによりアンケート調査を実施する。2024年3月末までに調査結果の分析を行う。 コロナによる研究の遅延により2年間の再延長を認めて頂いたことを大変感謝している。現地調査のための渡米費用として温存していた科研費を漸く使用することができる。本報告書提出時の予定では、渡米時期が補助期間終了間際になってしまうが、延長して頂いた科研費助成期間を十分活用して研究を進めていく所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
米国薬学生の外国人患者対応実態調査: オンラインによるアンケート調査を実施終了後、顕著な異文化体験をした学生に、玉巻が現地で対面で調査を実施する。現地調査では詳細な聞き取り調査を実施する。 本研究の計画当初より、科研費は米国ボストンー日本の渡航費とボストンでの滞在費に使用する予定であったため、2022年度の支出はゼロとし、渡米に備えて科研費を温存した。 渡航時期については本報告書提出時点では2024年2月末の予定であるが、研究の進捗状況により変更する可能性もある。
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