中国山西省に建っていた碑石から、未知数三つの高次方程式を扱った『乾坤括嚢』の著者名、経歴、編纂時期が判明した。クビライ・カアンが作成させた「世界地図」の亜流たる「混一疆理歴代国都之図」「大明混一図」の西半分の地名を、ペルシア語の『集史』や地理書によって解読・分析することで、当時の軍事・商業の重要拠点がより明確に浮かび上がってきた。モンゴルは外交・諜報活動により、1300年頃までにヨーロッパの海図を入手しており、昨今注目されている黒海、クリミア半島のほかスカンジナビア半島の形状も正確に把握していた。これらの事実によって、歴史文献学から数学史・地理学へ提言が可能となり、新たな一頁を書き加えられる。
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