研究課題
基盤研究(C)
この研究は、これまでほとんど着目されていなかった司馬江漢「地球分図」に初めて焦点を当て、その製作過程を分析することを通じて史料性や史料的価値を解明し、司馬江漢の海外情報受容過程を具体的に究明することを目的として実施した。司馬江漢と交流のあった大槻玄沢らの事例との比較研究により、「鎖国」下にあった知識人たちの海外情報受容過程が明らかとなり、当時の日蘭・日魯文化交流史の実態の一端も見出せた。
江戸時代の日蘭・日魯交流史
この研究の学術的意義は、司馬江漢「地球分図」の製作過程の分析を通じて、この史料の特質や史料的価値が明らかとなり、洋学史研究者などへの新史料活用の便をはかるための基盤が形成されたことにある。また社会的意義としては、「鎖国」下にあった当時の知識人たちの海外情報の入手方法や受容過程が具体的に解明されたことにより、グローバル化・情報化が著しく進展した現代社会を生きる我々に、海外情報受容の在り方を見つめ直す素材が提供されたことを挙げることができる。