戦時期から戦後初期にかけての日本における日雇労働者の実態について、特に労務供給請負業とのかかわりで検討した。第一に、戦時期において日雇労働者の組織化につとめた扶桑会の史料を収集し、その活動が国外を含め広範囲にわたっていたことを明らかにした。第二に、扶桑会の会長である飛田勝造の活動について、飛田自身が発表した論文やエッセイ、周辺の人物の証言などを使用して明らかにした。労務供給請負業は、1930年代には「人道」と「戦争」という二つの「危機」にさらされ、活路を見出す必要に迫られていた。そうした事態への具体的な対応として、「業界の弊風」の刷新、労働力動員への協力が進められた経緯を明らかにした。
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