研究課題/領域番号 |
19K00951
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
山田 雄司 三重大学, 人文学部, 教授 (90314103)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 忍術 / 忍者 / 兵法 / 米国議会図書館 |
研究実績の概要 |
本年度は、当初米国議会図書館において、未見の史料調査・写真撮影を行う予定だったが、新型コロナウイルス流行によって渡米できなかったため、現地調査を行うことはできなかった。そこで、昨年度史料調査を行って撮影した写真があるため、その翻刻を中心に行うことにした。史料の中でもまとまって忍びの方法について書かれている『武教全書正解』および『軍敗要目集』について、大学院生に協力してもらい、翻刻および語句等の注釈を進めた。 『武教全書正解』には、忍びの定義として、忍びは、敵国へ潜入するときに形を隠し変じて忍び入り、敵の内情の委曲をうかがい知る役であり、物見が形を顕して敵をうかがうのと違うとしている。そして、忍びの生業は、見がたいことを見て聞きがたいことを聞いて、敵が内々に隠していることを味方に告げ知らせることで、そのためには、浪人や町人、勧進などに形を変えて往来してそこの者に取り入り、または敵国に居住してそこの国の者と同前となって敵の内情を探りうかがったり、敵の愛臣の被官となるなどして内情をうかがい知ることをするので、忍びとして採用する際には人撰が第一だとしている。 また、具体的な忍術についても、これまで知られてない内容のものが数多く記されている。暗号の方法については、文章を書いたときに用いている漢字の一部だけ書くことによって伝える方法、文章の文字と文字の間に適当な漢字を入れて、文意がわからないようにしたりする方法が記されている。密書を送るときの方法としては、紙を横に3つに裂いて、3人に持たせて相手に送る方法などが記されている。さらには、白紙に鉄漿で書けば、乾くと文字が消え、それを水に浸せば文字が浮かび上がることや、酒で白紙に字を書いて乾かすと何も文字は見えないが、それを火であぶれば文字が浮かび上がるといった密書の書き方などが記されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス流行のため、実際に渡米して米国議会図書館所蔵史料の調査を行うことができない。
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今後の研究の推進方策 |
渡米できない状態が続いたならば、これまでに撮影した写真により、翻刻を行い解説を付していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス流行により渡米できなかったため。国内調査替えて行う。
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