研究課題/領域番号 |
19K00961
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
大杉 由香 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 教授 (60297083)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 公共圏 / 警察社会事業 / 地方格差 / 子どもの権利 / 名望家 / 捨子(棄児) / 都市下層社会 / 教育権 |
研究成果の概要 |
本研究では近世・近代日本における捨子(棄児)・貧困児童が如何なる社会的処遇を受けていたのか、両時代の連続面と断絶面に注目した。まず明治期には近代的な慈善事業が登場する一方、旧来の救済システムも残り、曲がりなりにも親が養育している場合の公的支援は皆無に近かったことも明らかにした。しかし戦間期に日本でもこうした親への公的援助が不十分ながらも行われるようになり、子どもに対する視線も労働力から保護の対象へと変化したが、近代的な公的扶助とされる救護法でさえ、児童救済を一見優先させながら、その援助金で家族を養うように仕向ける等、児童の権利を擁護しようとする意識が欧米と比べて希薄であったことを実証した。
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自由記述の分野 |
日本史・社会福祉
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、従来個別に研究されてきた近世・近代の子どもの問題について、包括的視点から洗い直し、近世と近代の連続面と断絶面について明らかにしようとした点が画期的であった。今まで子どもの社会的養護に関しては、近世と近代では断絶面が強調されがちであったが、慈善事業施設は棄児等の数と比べ僅かであり、明治期は近世以来の周旋屋による里子等の斡旋が続いていたことも今回の研究で見えてきた点であった。 また子どもが労働力から保護対象となるのは戦間期であり、1920年代前半までとそれ以降の間に断絶があることは今まで看過されがちであったが、その断絶の詳細についても明らかにした点で新機軸を打ち出したと考えている。
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