研究課題/領域番号 |
19K00962
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
西川 広平 中央大学, 文学部, 准教授 (60574150)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自然災害 / 東海地震 / 日本中世史 / 日本近世史 / 内陸地域 / 災害復興 / 歴史学 / 古文書 |
研究実績の概要 |
2019年度は当初の研究計画を踏まえて、2019年9月5日に静岡県立中央図書館静岡県歴史文化情報センターにおいて史料調査を実施し、『静岡県史』編纂史料より前近代に発生した東海地震のうち、1707年の宝永地震および1854年の安政地震に関連する古文書18件を確認した。調査時には史料画像の複写を行い、それをもとに解読と内容の把握にあたる作業を継続している。 この結果、安政地震について、11月4日の地震発生時に東海道三島宿本陣樋口家からの報告によると、三島宿では旅籠や百姓の居宅が倒壊した上、出火が発生し、さらにその後の大雨による被害で災害からの復興に支障を来していたことが判明した。一方、藤枝宿助郷惣代からの報告によると、藤枝宿では、12月には尾張藩や紀伊藩等の要請で仮橋の架設が助郷役を務めた各村の負担で行われ、主要交通路の確保が地震災害からの復興の初期段階で重視されていたことを確認することができた。なお、沼津宿で作成された「嘉永七甲寅歳地震之記」(内題「甲寅霜月地震記」)には、当地における被害状況が、画像とともに叙述されており、今後内容の詳細を確認する予定である。 また、2020年3月16日には、中央大学多摩キャンパスで第1回研究会を実施し、研究協力者に現時点における研究状況を説明するとともに意見交換を行い、専門分野ごとに分かれている情報の共有を図った。特に2020年度の研究計画と研究協力者各自の役割分担について、調整を進展させることができた。 今後は、引き続き調査結果の分析を進めるとともに、研究会で協議した方針を踏まえて必要となる調査を実施し、社会情勢の推移に対応しつつ、円滑な研究の遂行を図っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年3月には、2回目となる静岡県立中央図書館静岡県歴史文化情報センターにおける史料調査や山梨県立博物館における史料調査を計画していたが、新型コロナウィルス感染症蔓延の影響で実施できなかった。また、3月16日に開催した第1回研究会も、同様の事情により、当初出席予定であった半数以上の研究協力者が出席できず、欠席者に対しては現在も対面による詳細な説明を行える状況となっていない。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の蔓延により、博物館や図書館等の閉鎖、並びに研究協力者の出張自粛という事態が生じ、現状では2020年度に計画している調査を実施する見通しが立っていない。このため、これまでの調査で画像を入手した古文書の分析等、実施可能な内容について優先的に研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に計画していた史料調査が新型コロナウィルス感染症蔓延の影響で中止となり、また同3月16日に開催した第1回研究会への研究協力者の出席が半数以上、同様の理由により不実施となったため、次年度使用額が発生した。 これらは、事態が収束した後、2020年度以降に改めて実施する予定である。
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