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2021 年度 実施状況報告書

前近代の災害復興に関する史料論的・学際的研究―東海地震の内陸部被害を対象に―

研究課題

研究課題/領域番号 19K00962
研究機関中央大学

研究代表者

西川 広平  中央大学, 文学部, 教授 (60574150)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード自然災害 / 東海地震 / 日本中世史 / 日本近世史 / 内陸地域 / 災害復興 / 歴史学 / 古文書
研究実績の概要

2021年度は新型コロナウィルス感染症蔓延の影響により、当初予定していた史料調査の全てを実施することはできなかったが、2021年8月22・23日に徳島市内を中心として嘉永7年(1854)に発生した安政東海地震に関する津波災害の供養碑等の石造物(国登録記念物)を、また同年10月29・30日には、徳島県美波町由岐地区に伝来する、正平16年・康安元年(1361)に発生した正平南海地震の供養碑とされる、美波町指定有形文化財「東由岐康暦碑」および同「西の地貞治碑」を調査することができた。
そして文献史料では、2022年2月17日には、明応7年(1498)に発生した明応東海地震における身延山久遠寺(山梨県身延町)および海長寺(静岡市清水区)等の被害状況について記されている、静岡市指定文化財『日海記』の調査を実施することができた。
上記の調査を行う一方、これまでに得た調査データ等を活用して、16世紀の地震災害に際しての税制改編について研究した論文「「天文十八年地震と税制―戦国大名武田家の事例を中心に―」を執筆し、『紀要』史学第67号(中央大学文学部、2022年3月)において発表した。この中で、天文18年(1549)地震の被害に伴う税収不足を補うために、戦国大名武田家が徳役と称される祠堂物・祠堂銭への課税と、過料銭と称される棟別銭への臨時課税を実施し、郷村の指導的階層である地下衆を対象に広範かつ等しく賦課したこと、また過料銭はその後に棟別銭に吸収されるも、武田家が翌年分の棟別銭を前年に前倒しで賦課した事例等を確認でき、過料銭は実質的に存続していたことを指摘した。
今後は、『日海記』の翻刻・分析や、徳島・静岡・山梨各県内を中心に地震災害の供養碑の調査等を中心にして、社会情勢を踏まえつつ予定している調査を進めるとともに、研究成果をまとめていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2021年度は、懸案であった徳島県内における中世・近世の津波災害に関わる石造物の調査や、明応東海地震に関する記載のある『日海記』の調査等を実施することができた一方、新型コロナウィルス感染症蔓延の影響により、『一宮浅間宮帳』等の当初予定していた史料調査の全てを実施することができなかった。
また、研究協力者とは、逐次連絡を取り合っているものの、同様の理由により各所属先から出張の許可が出ない状況があったほか、オンライン環境が不整備の部署もあり、全員が揃っての調査や研究会を実施できず、少人数により個別に対応した。

今後の研究の推進方策

新型コロナウィルス感染症蔓延の影響により、2021年度に引き続き、現状では2022年度に計画している調査を全て実施できる見通しが、徳島県等における石造物や山梨県立博物館に収蔵されている文献史料等を除いて十分に立っていない。このため、調査の実施を見据えつつ、2021年度と同様に、これまでの調査で画像を入手した古文書の分析等、実施可能な内容について優先的に研究を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

2021年度は、新型コロナウィルス感染症蔓延の影響により、当初予定していた史料調査を実施できず、また調査で得られたデータの整理を行う十分な機会がなかったため、旅費や人件費・謝金を中心に次年度使用額が発生した。2022年度は、社会情勢を踏まえつつ、2021年度に実施できなかった調査を含めて実施できるよう調整し、研究計画の遅れを取り戻したい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 天文十八年地震と税制2022

    • 著者名/発表者名
      西川広平
    • 雑誌名

      『紀要』(中央大学文学部)

      巻: 史学第67号(通巻第291号) ページ: 27-50

    • オープンアクセス
  • [備考] 中央大学研究者情報データベース

    • URL

      https://researchers.chuo-u.ac.jp/Profiles/5/0000450/profile.html

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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