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2020 年度 実施状況報告書

近世産業絵巻の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K00969
研究機関新潟県立歴史博物館

研究代表者

渡部 浩二  新潟県立歴史博物館, その他部局等, 研究員 (20373475)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード近世 / 産業 / 絵巻
研究実績の概要

昨年度に引き続き、全国各地に散在する産業絵巻の所在リストの拡充を行った。また、いくつかの絵巻については、画像データを入手し、詳細を検討した。
今年度は、産業絵巻のなかでも多くの所在が確認されている捕鯨絵巻を中心に検討した。先行研究を参照しながら、紀州地方や九州北部西海地方などの捕鯨絵巻の成立過程、基本構成、特徴などを確認した。また、産業絵巻のなかでも早い時期(17世紀)に成立したと考えられる農耕絵巻の研究史の整理も進めた。
産業絵巻成立の社会的背景を探る一環として、近世後期の一枚刷の全国産物番付から、どのような産業が絵巻の画題となりえるのか検討した。番付上位のものが顕著であると予想されたが、捕鯨がそうであるのに対し、織物業・酒造業などの絵巻化は顕著でなく、個々の産業や地域ごとに絵巻化された事情を検討する必要性を確認した。近世の越後国でも織物業が代表的な産業で全国的にも著名であったが、確認されるのは明治8年(1875)の絵巻1件のみである。
また、産業(産物の製造工程)が絵巻化される必然性を検討する一環として、絵巻の画題となっている産業が、冊子・屏風・掛福・扇面などとしても描かれているかどうか鉱業(佐渡金銀山など)を事例に検討した。結果、絵巻として描かれる事例が多い傾向がうかがわれた。産物の製造工程は、時間的・空間的に展開する画題であるため、絵巻という形での表現が選択されたのではないかと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

予定していた史料の調査・撮影や研究会の開催が、新型コロナウィルス流行の影響で実施できなかったため。

今後の研究の推進方策

次年度は、これまで所在を把握した絵巻史料の調査・撮影を進める。これと並行して、それらの絵巻の所蔵者(旧蔵者)、作者、制作時期、制作目的などの整理を進め、近世の産業絵巻群全体のなかに位置づけ、近世産業絵巻群の構造を総合的に検討する。データの整理にあたっては、絵巻化されなかった(されにくかった)産業についても整理し、近世産業の史料化の契機・経緯やその背景についても引き続き検討を進める。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス流行の影響により、予定していた史料の調査・撮影や研究会の開催ができず、使用残金が生じた。今年度できなかった調査・撮影や研究会を実施したり、調査報告書刊行などの経費として活用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 「佐州金銀山敷内稼方之図」扇面について2021

    • 著者名/発表者名
      渡部浩二
    • 雑誌名

      新潟県立歴史博物館研究紀要

      巻: 22 ページ: 125~134

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公開日: 2021-12-27  

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