研究課題/領域番号 |
19K00986
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
秋元 せき 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (20469208)
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研究分担者 |
小林 丈広 同志社大学, 文学部, 教授 (60467397)
三枝 暁子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (70411139)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 秦家文書 |
研究実績の概要 |
本研究は、京都市下京区太子山町に所在する秦家に伝来した古文書を中心とする歴史資料の分析・研究を通して、日本史におけるいわゆる「町家」と「町」と「家」の関係性を歴史学的に究明し、都市における「町家」の存立基盤を歴史学的観点から解明することを目的とする。 令和2年度は、昨年度につづき、京都市太子山町の薬種商「秦家」に伝来した古文書(京都市歴史資料館所蔵「秦家文書」)及び「太子山町文書」の解読を進めている。〔担当秋元、副担当小林・三枝〕 その成果の一部は、市民向けの公開古文書講座のなかで紹介する機会を得た。講座では、秦家文書(京都市下京区太子山町)から、宝暦9年(1759)の奇応丸看板設置についての口上書のほか、天保期から弘化期にかけての家督相続に関する文書、三行半(離縁状)、婚礼の記録などの解読を行った。講座でとりあげた資料は、写真版の複写と翻刻文を作成・配布した。〔担当秋元〕 こうした古文書の解読・研究と併行して、20世紀以降現在に至るまでの家の生業・文化の継承のありようを明らかにするため、同家の継承者からの聞き取り調査に継続中である。今年度は、その成果の一部公開のため、過去の聞き取り調査から調査記録の原稿化を音声データの文字起こしを行ない、調査記録の作成を進めた。〔担当三枝〕 この他、調査成果報告書の作成にむけて、12月に東京で打合せ会議を開催し、研究の進捗状況と役割分担の確認を行い、次年度以降の計画について検討した。〔担当三枝〕
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の関係から、祇園祭山鉾巡行が中止になったことを始めとして、当初想定外の状況が生じ、関連した展示やイベントが自粛されている状況を鑑みて、当初計画では令和2年度に予定していた秦家での展示・撮影を、昨年度は延期せざるを得なかった。しかしながら、今年度は、コロナ下においても進められる調査・研究から、優先的に取り組む方針をとり、これまでに収集してきた調査記録の整理や、古文書の画像データなどからの資料の解読、聞き取り調査記録の原稿化などを進めた。この研究成果の一部として発表したものは、以下の通りである。 秋元せき・小林丈広・三枝暁子(共著)「歴史を伝え、歴史をつむぐ、京町家の暮らし―秦家(京都市太子山町)聞き取り調査の記録―」『京都市歴史資料館紀要』29号、京都市歴史資料館、2021年3月、26-78頁。 三枝暁子「中世都市論―都市の輪郭について考える」秋山哲雄・田中大喜・野口華世編『増補改訂新版 日本中世史入門―論文を書こう』勉誠出版、2021年3月、415-431頁 秋元せき〔古文書講座「京の商家の暮らし」〕全4回、京都市歴史資料館、2020年10月21日~11月11日。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の関係から、令和2年度に続いて、令和3年度の祇園祭山鉾巡行の中止が決定している(2021年4月30日現在)。関連した展示やイベントが自粛されている状況を鑑みて、当初計画では令和2年度に予定していた秦家での展示・撮影を、昨年度は延期せざるを得なかった。今後、現地調査の再開の時期や方法を探り、令和3年度の調査再開後には、写真撮影を中心に、聞き取り調査・研究会開催、調査報告書に向けての原稿執筆を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、令和元年度にノートパソコン及びデジタルカメラの購入を予定していたが、前年度まで他の科研研究で使用していた機材が使用可能になったため、これらの機材の新規購入を延期していたが、これらの機材については、令和3年度に購入予定である。 なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の関係から、令和2年度に続いて、令和3年度の祇園祭山鉾巡行の中止が決定している。関連した展示やイベントが自粛されている状況を鑑みて、当初計画では令和2年度に予定していた秦家での展示・撮影を、昨年度は延期せざるを得なかった。今後、現地調査の再開の時期や方法を探り、令和3年度の調査再開後には、写真撮影・聞き取り調査・研究会開催等の旅費等が必要になる。
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