研究課題
基盤研究(C)
戦前日本の植民地官僚の伝記的研究を行うことを通じて、集団としての植民地官僚に共通の思想や行動の特徴を明らかにすると共に、彼らが所属した現地各統治機関に見られる組織としてのそれぞれの特徴を明らかにすることができた。植民地官僚たちは、現地植民地行政には本国と異なる事情に対応するため独自の裁量権が必要であると考えていた。また彼らは植民地統治手法の調査や研究にも積極的であり、現実の統治に必要な知識を選別・共有することによって安定的な統治が継続することを志向した。
日本経済史、日本帝国史
本研究の成果は、学術的には戦前期日本の植民地統治は各外地機関で一様なものであったわけではなく、本国からどの程度の裁量権を獲得しているかで異なってくることが明らかになったことである。また、本研究の社会的意義は、組織で働く者の集団としての特徴を明確化し、彼らの働き方の成果がどのように共有されるかを分析することを通して、組織がどのような特徴を持つにいたるか、そうした特徴をいかに活用するか、が検討可能になったことである。