研究課題/領域番号 |
19K00989
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研究機関 | 沖縄大学 |
研究代表者 |
若林 千代 沖縄大学, 法経学部, 教授 (30322457)
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研究分担者 |
金 美恵 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (00774142)
森川 恭剛 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (20274417)
親川 裕子 琉球大学, 人文社会学部, 非常勤講師 (30827291)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 沖縄 / 米軍占領 / 社会変容 / 秩序意識 / 冷戦 / 刑事司法 / 住民管理 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
本研究は、米軍統治下の沖縄における秩序意識について、占領がもたらした社会変容を明らかにしつつ、米軍の住民管理や行政制度、司法制度等がどのように形成され、運用され、また、権力と社会に関する人びとの意識に影響を与えたか、歴史的に考察するものである。 本研究の2019年度における研究実績は、以下の通りである。資料の検証としては、沖縄県公文書館および琉球大学図書館、沖縄大学図書館(新崎盛暉文庫)、国立国会図書館、さらに、韓国外交史料館(ソウル)等において、とくに社会的に「周辺化」された領域として、住民が対象となった刑事事件や冷戦的反共主義による政治事件、女性や子ども、国際児、外国人、ハンセン病や精神疾患等に注目して、米国公文書および琉球列島米国民政府の公文書の検証と収集をおこなった。具体的には、第一に、琉球列島米国民政府文書や琉球政府の法務部、琉球列島米国民政府公安局や渉外局をはじめとする司法や行政の住民管理の諸制度、裁判に関する公文書等である。 同時に、資料収集と併行して、共同研究会を開催し、社会変容と制度の変化が人びとの秩序意識に与えた影響の検証をおこない、占領の社会史を考察を共有した。その際、研究代表者と研究分担者は、それぞれ、沖縄現代史(政治史・社会史)、刑法学(戦後沖縄刑事法制史)、沖縄のジェンダー/女性や国際人権論、東アジア現代史等の観点から、意見交換をおこなった。 さらに、関連する国内外の学術学会および研究集会において、中間的な成果について報告をおこなった。 ただし、2019年度に予定していた、米国国立公文書館、米国国立人事記録センター、米国議会図書館、プリンストン大学他における、日本未公開公文書の調査については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、米国への入国制限がおこなわれたため、残念ながら、2019年度内の実施を断念せざるを得なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、米軍統治下の沖縄における秩序意識について、占領がもたらした社会変容を明らかにしつつ、米軍の住民管理や行政制度、司法制度等がどのように形成され、運用され、また、権力と社会に関する人びとの意識に影響を与えたか、歴史的に考察するものである。 従って、資料の検証としては、国内の資料館・文書館である、沖縄県公文書館および琉球大学図書館、沖縄大学図書館(新崎盛暉文庫)、国立国会図書館、韓国外交史料館等の国内外の資料館・文書館での調査と同時に、これらの資料館では入手の困難な、日本未公開の占領側の公文書等の資料の検証が不可欠である。そのため、本研究では、米国での調査を計画し、準備をおこなっていた。 しかし、2019年度に予定していた、米国国立公文書館、米国国立人事記録センター、米国議会図書館、プリンストン大学他における、日本未公開公文書の調査については、新型コロナウイルス感染症の日本における感染拡大、また、米国での感染拡大と日本からの入国制限がおこなわれたため、残念ながら、2019年度内の実施を断念せざるを得なかった。 また、研究分担者(森川)が準備していた論文について、2020年3月発行予定となっていたものが、新型コロナウイルス感染症拡大のため、出版社の作業が遅延し、発行されていない現状がある。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の成果を踏まえて、今後、本研究では、引き続き、資料の検証としては、沖縄県公文書館および琉球大学図書館、沖縄大学図書館(新崎盛暉文庫)、国立国会図書館等において、米国公文書および琉球列島米国民政府の公文書の検証と収集を継続する。具体的には、琉球列島米国民政府文書や琉球政府の法務部、琉球列島米国民政府公安局や渉外局をはじめとする司法や行政の住民管理の諸制度、裁判に関する公文書等であるが、このうち、重要な公開公文書については、必要に応じて、デジタル化処理をおこなう。 同時に、共同研究会を引き続き開催し、社会変容と制度の変化が人びとの秩序意識に与えた影響について、資料収集の進捗状況を確認しつつ、意見交換をおこなう。その際、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止に配慮し、オンラインの会議ツール等を利用しつつ進める(2020年度は、関連する国内外の学術学会および研究集会の中止または延期が予想されるため、口頭発表が困難である場合に、共同研究を先に進めていく)。 また、米国国立公文書館、米国国立人事記録センター、米国議会図書館、プリンストン大学他における、日本未公開公文書の調査については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と収束の状況を注視しつつ、また、米国への入国制限、移動制限などの状況を注視しつつ、可能な機会をできるだけ見定め、実施可能な場合には進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、資料の検証としては、国内の資料館、韓国外交史料館と同時に、これらの資料館では入手の困難な、日本未公開の占領側の公文書等の資料について、米国での調査を計画し、準備をおこなっていた。 しかし、2019年度に予定していた、米国国立公文書館、米国国立人事記録センター、米国議会図書館、プリンストン大学他における、日本未公開公文書の調査については、新型コロナウイルス感染症の日本における感染拡大、また、米国での感染拡大と日本からの入国制限がおこなわれたため、2019年度内の実施を断念せざるを得なかった。 今後、本研究では、日本未公開公文書の調査については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と収束の状況を注視しつつ、また、米国への入国制限、移動制限などの状況を注視しつつ、可能な機会をできるだけ見定め、実施可能な場合には進めたい。 また、それが困難となった場合は、国内で入手、もしくはオンラインで入手可能な資料のうち、重要な公開公文書については、必要に応じて、デジタル化処理をおこない、研究基盤の整備に努める。同時に、共同研究会を引き続き開催し、社会変容と制度の変化が人びとの秩序意識に与えた影響について、資料収集の進捗状況を確認しつつ、意見交換をおこなう。その際、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止に配慮し、オンラインの会議ツール等を利用しつつ進める。
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