研究課題/領域番号 |
19K00994
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横田 冬彦 京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (70166883)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 享保改革 / 庶民日記 / 生活文化史 |
研究実績の概要 |
(1)摂津国伊丹郷の八尾八左衛門日記の翻刻・注釈・分析の作業を進めた。コロナ禍によってオンラインによる開催を余儀なくされているが、月1回の研究会を継続している。享保20年を中心とした翻刻・注釈作業をほぼ終えることができた。引き続き、研究会参加者の史料分析の報告会を行っている。また、調査補助員を雇用して、享保15-19年の活字翻刻のあるものについてデータ入力、点検をおこなった。 (2)昨年度、大和国の無足人山本平左衛門日記の分析を通じて、論考「近世前期の出産―大和国無足人山本平左衛門日記を素材に―」を公刊したが、ひきつづきそこでの実証をめぐって、研究ノートを準備中で、その内容につき、大阪大学日本史研究室の講演会などで報告した (3)享保期の日記の前提をなすものとして、元禄期の河内邦大ケ塚村の『河内屋可正旧記』の分析をおこなった。この史料は、いわゆる日次記の体裁はとっていないが、年1冊で書き継がれている。出来事を順次記載する日次記ではないが、思索をそれなりの構想をともないながら順次記載していくものとして、この時期の庶民記録の全体像を考察する好古の史料として位置づけられる。 (4)昨年度、大和国の生活史・文化史研究に関連して、郡山藩家老薮田家文書の目録整理をおこない『郡山藩家老「薮田家文書」の目録と解題』(全360頁)をまとめた(昨年度中の刊行予定として昨年度実績に記したが、実際の刊行は本年度10月にずれこんだ)。本研究が直接対象とする庶民の生活日記そのものではないが、同じ元禄享保期の畿内大名の家老クラスの武士の生活や仕事の日常を明らかにしており、本年度それについての分析の成果を講演した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の対策として、月例の研究会をオンラインでしかできなくなった。また、研究補助員によって進めている史料の入力について、対面での検討・点検・校正などができなくなったので、きわめて要領が悪くなり、この点が大きな障害となっている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)摂津伊丹郷の八尾家文書の翻刻・注釈作業および共同研究については、引き続き進めていき、昨年度からはじめた研究会参加者による分析成果を論稿化していく。 (2)調査補助員による史料翻刻については、点検・校正のやり方を工夫する。当初計画していた、他の二つの日記については、当面縮小しつつ進める。 (3)『河内屋可正旧記』などについての分析をすすめ、研究成果をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
主として、史料翻刻業務の調査補助員の雇用代と学会発表のための旅費である。史料翻刻は、特に点検・校正などが遅れている。調査補助員について、校正のできるクラスの補助員の追加雇用を模索したが、適当な人材を得られていない。何とか雇用できるよう考えたい。 学会発表については、ほぼすべてがオンラインになっているので、史料・文献購入などに振り替える予定。
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