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2019 年度 実施状況報告書

太閤検地に関する国家史的再定義

研究課題

研究課題/領域番号 19K00996
研究機関九州大学

研究代表者

中野 等  九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (10301350)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード豊臣政権 / 太閤検地 / 国内統一 / 知行充行 / 御前帳 / 兵農分離 / 石高
研究実績の概要

豊臣政権の研究をすすめる過程で、その基本政策と位置づけられる「太閤検地」は必ずしも農民の土地保有や経営権の確保を目論んだものではなく、「村」の立ち上げと村請制の始動を期したものであり、むしろ国家史・国制史の視点から再構築すべきではないかという認識を抱くにいたった。研究の初年度となる本年度は、主として研究環境の整備を図るため、中近世以降を対象とする史料集や戦国・織豊期に関わる基本的文献など、研究の基盤となる基本図書の収集およびデジタルカメラの購入など、研究環境の充実に努めた。
豊臣政権が遂行した基本政策である太閤検地研究の再検討の必要は、従前より強く認識していた。本研究課題自体は今年度に採択されたが、前提となる研究は昨年度にも科学研究費補助金を申請していた。残念ながら、昨年度は不採択となったが、実質的な研究は昨年度の段階から開始しており、今年度の前半はそれを継続して、国立国会図書館において全国各地の都府県史・市町村史、とりわけ検地・豊臣政権期に関する文献の調査を精力的に実施した。必要な文献については、補助金を使用して複写を進めた。
その成果として、令和元年八月には中公新書として『太閤検地 秀吉が目指した国のかたち』を刊行した。今年度における研究実績のひとつであるが、一般向けの新書というかたちをとったため、充分に尽くされてはいない部分も多い。
こうした認識のもと、今年度の後半は前記の拙著が及ばなかった点についてさらに追求すべく、国立国会図書館や兵庫県立歴史博物館、東京大学史料編纂所等での調査を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究初年度の段階で、すでに研究全体の見取り図の位置づけをもつ著書を刊行できた点は評価できる。但し拙著は新書というかたちをとって一般の読者を対象としているため、今後は研究論文のかたちで学問的な純化をはかる必要がある。

今後の研究の推進方策

継続して基礎史料の発掘、収集をすすめ、新書のかたちでは十分な議論をなしえなかった論点について、論文の作成をすすめる。また、石高制や兵農分離制など太閤検地に付随する重要な論点についても議論ができる準備をすすめたい。
また、実際の検地を遂行した奉行衆については、細かな動向を含む実態分析をすすめていきたい。

次年度使用額が生じた理由

年度末に予定していた出張が、新型コロナウィルスの関係で自粛が求められたため、計画を取りやめた。国立国会図書館、国文学研究資料館、東京大学史料編纂所等の臨時閉館が解除され、利用が可能となれば、当初の計画に基づいて順次調査を再開する予定であり、その場合は結果的に繰り越すこととなった、この「次年度使用額」についても有効に活用することを計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 太閤検地2019

    • 著者名/発表者名
      中野 等
    • 総ページ数
      296
    • 出版者
      中央公論新社
    • ISBN
      978-4-12-102557-9

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公開日: 2021-01-27  

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