研究課題/領域番号 |
19K00998
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
山田 敦 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (80322767)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 田代安定 / 植民地撰定 / 明治期北海道 / 移民政策 / 台湾総督府 / 日本統治期台湾 |
研究実績の概要 |
2021年度もコロナ禍による勤務校の出張規制により、台湾でのフィールドワークはできなかったが、北海道でフィールドワークは短期間ながら秋に行うことができた。10月に十勝地方(帯広近郊)で明治期の開拓地を巡り、『北海道植民地撰定報文』など明治期開拓に関する文献と、現在に残る地形(平野、河川、河岸段丘など)そして神社や「〇〇会館」(〇〇には越前や加賀など開拓民の出身地が入る)の場所とを照らし合わせながら、明治期開拓文献の理解に努めた。 フィールドワーク以外では、昨年度同様に神戸市立中央図書館へ出張して、同館が所蔵する『神戸又新日報』マイクロフィルムを閲覧し、港町神戸で把握されていた19世紀末台湾情報の読解に努めた。 通常時においては、昨年度と同様に、ネットで入手した文献を利用しながら研究を行った。「台湾総督府档案」(台湾の国史館台湾文献館所蔵)など「殖民地撰定」事業に関する文献の整理解読を進め、その成果の一部を公表できた。昨年度に台湾の有料eジャーナルプロバイダの華藝(https://www.airitilibrary.com/)から入手した多数の関連論文については、今年度も台湾の研究を参照しながら、研究するのに有意義であった。 研究成果の公表は順調に進めることができた。論文は紀要だが2件掲載した。1件は本科研の直接の研究成果であり、もう1件は2018年度の研究の文章化だが本科研と強く関連する成果である。口頭発表は3件行った。1件(学会の例会1件)は本科研の直接の研究成果であり、残り2件(うち学会の例会1件)は他の研究プロジェクトであるがキーワードの田代安定と深く関係するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍が継続し、勤務校の出張規制が続いたため、台湾へは渡航できないままであるが、北海道でのフィールドワークは最低限ながら行うことができた。また文献読解も進んでいる。 よって、2021年度が本来の研究最終年度あることを考えれば「遅れている」と評価すべきであるが、2022年度を研究最終年度とすれば、ある程度の進捗があったため「やや遅れている」との評価とする。 前年度の研究遅延の要因でもあった、勤務校の中高教職課程の責任者やZoomの運用担当者の業務については、2021年度も継続して行った。勤務時間が割かれたことは前年度と同様であったが、2020年度ほど致命的な問題とはならなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はコロナ情勢を見ながら、台湾へのフィールドワークや北海道への補充的なフィールドワークを行う。台湾での研究次第ではあるが、研究成果をまとめる予定である。 フィールドワークが最小限に留まり、文献も出張しての調査を縮小せざるを得なかったため、それの資料整理に関する費用を含め、当初予定より経費に余剰が生じている。勤務校が人文社会系の書籍出版を奨励していることもあり、可能であれば余剰分を振り向けることで、研究成果の報告を書籍出版という形式で行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度においては健康上の理由(入院2回)により、2020年度と2021年度においてはコロナ禍による海外渡航制限・国内出張規制により、旅費(台湾・北海道へのフィールドワーク、東京への資料収集)を計画通り支出できなかったため。 他の費目も、フィールドワークで収集した資料が少なく、謝金によるその資料整理への支出が予定通りでないなど、旅費が計画通り支出できなかったことの影響で、余剰が生じている。 2022年度においては台湾でのフィールドワークや北海道の補充的フィールドワークを行う。また旅費から費目を振り替える形となるが、勤務校が人文社会系の書籍出版を奨励していることもあり、研究成果の報告を書籍とするための経費に使用したい。
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