6~7世紀に日本・朝鮮で造像された菩薩半跏像(半跏思惟像)は、従来、弥勒菩薩を表現したものとされてきた。しかし、中国に両者を結びつける作例がないことから、近年では両地域の作例もまた弥勒菩薩を表現したものではないと考えられている。本研究では海外所在の作例の調査を糸口にして、仏像の像容のみならず、文献史料や尊像に刻まれた銘文などの分析をとおして、その妥当性を検討し、旧説のように弥勒菩薩の造像表現である作例を見出した。日本・朝鮮の仏教彫刻は、中国の影響を多分に受けて発達するが、本研究の成果によれば、両地域においてはその一方で独自の造像活動・信仰形態が展開したことを示唆する。
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