研究課題/領域番号 |
19K01001
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
大塚 紀弘 法政大学, 文学部, 准教授 (10468887)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日本中世 / 渡来人 |
研究実績の概要 |
本年度は、当初の研究計画に沿って、昨年度に引き続いて、①関係史資料の集成・研究、②関係典籍の調査・研究、③研究成果の公表の3つの方向で作業を進めた。 ①としては、第一に、平安時代後期から南北朝時代にかけての渡来人およびそれと深く関わる史資料を対象とし、刊本を中心に網羅的に収集した。その際、調査研究報告書に掲載することを念頭に、記載年代や成立年代を基に時系列順に整理した。また、関連する部分あるいは全体の記述を引用するとともに、それを含む史資料の名称と典拠とした刊本の書誌情報を記載した。諸本が存在する史資料については、校訂を加えた。こうした作業に基づいて、出身地、渡来の経緯、活動の時期的な変遷、渡来人の人物像などについて総合的に考察した。 第二に、中世の渡来人と関係の深い仏具(梵音具)として、中国の寺院に起源を持つ雲版を取り上げ、研究を進めた。中世の雲版に関わる記述を含む清規などの文献史料や絵画資料を網羅的に収集・整理し、相互の関係を中心に考察した。また、今に伝わる中世の雲版の銘文に着目し、年代、旧所在寺院の性格、名称の記述などに注目して整理し、検討を加えた。 ②としては、鎌倉時代から南北朝時代にかけての典籍を中心しつつ、でき得る限り平安時代や室町時代の典籍まで対象を広げ、調査対象を選定した。調査の際に典籍の撮影および調書の作成を行なう段取りを確認した。その前提として、まずは刊本に基づいて、書写場所および渡来人の出身地に関する記述から、それらの所在地について検証し、昨年度作成した一覧表を改訂した。 ③としては、これまでの研究成果に基づいて、「入宋僧による新仏教運動の歴史的意義」、「鎌倉南北朝期の雲版と禅院・律院」など、中世の渡来人に関わる論文を執筆して公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基本的に当初の研究計画に沿って、関連史資料の集成とそれに基づく研究を着実に進め、研究成果に基づく論文を複数執筆して公表することができた。しかしながら、新型コロナウイルス対策のため資料調査の機会を十分に得ることができておらず、必ずしも順調に進展しているとは言い難いから。
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今後の研究の推進方策 |
関連典籍の調査・研究を重点的に行なう。本年度は新型コロナウイルス対策のため、計画に沿った資料調査の機会を十分に持てずに終わった。そこで、今後は調査研究報告書の刊行を見据えて、日程を含めて綿密な調査計画を練り、できる限り実行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス対策のため、本年度に計画していた出張を自粛せざるを得なかった等の理由で、次年度使用となった。繰り越し分は、次年度の出張旅費として使用する計画である。新型コロナウイルス対策のため、出張を控えざるを得ない期間が長期に及んだ場合、文献や史資料の画像を取り寄せるなど、必要に応じて代替処置を講じる予定である。
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