研究課題/領域番号 |
19K01005
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研究機関 | 新潟国際情報大学 |
研究代表者 |
吉澤 文寿 新潟国際情報大学, 国際学部, 教授 (30440457)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 日本朝鮮研究所 / 日韓条約 / 在日朝鮮人 / 在朝日本人 / 引揚者 / 日常史 |
研究実績の概要 |
2022年度は新型コロナウイルス感染症の水際対策が緩和されたものの、海外に渡航する費用がまだ高額であったこともあり、海外学会などにおける研究成果発表ができなかった。研究報告は国内の研究会で1度実施した。 この報告では故・木元賢輔氏の京都での学生時代を中心にその活動を整理した。この報告に際して、京都および大阪でフィールドワークを実施し、木元氏と交流があった方やその親族に面会したり、当時のサークル誌などで発表した論考などを収集した。 また、研究報告後の質疑応答を通して、歴史学における日記研究の成果を参照しつつ、この研究課題の意義をさらに深める必要性を再確認した。故・吉岡吉典氏の蔵書をはじめとする、日韓会談反対運動に関する今までの研究成果に照らしてみても、活動家の日記の記述を活用し、その内面から運動の歴史を逆照射したものはほとんどみられない。今回発表した時期の木元氏は朝鮮問題への関心が際だって現れていることが注目される。 また、前年度から引き続き「日常史」の観点から日記を読み直し、その叙述を整理する必要も感じた。交友関係、生活費および学費捻出のための労働、大学におけるサークル活動など、人間が生活する基盤に注目することで、より人間中心の歴史像を提示することができる。 今年度は、木元氏にインタビューした音声記録を本格的に整理し、ほぼ文字起こしを終了した。これらの記録は、木元氏の日記の記述を補足する上で貴重な情報である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日記およびインタビュー資料の整理は順調に進んでいる。海外学会での研究報告は実現できなかったが、国内での研究活動はほぼコロナ前の状況に回復しており、フィールドワークや資料調査も計画的に実施することができた。木元氏およびその友人の親族などとの連絡も支障なく行われており、最終年度に向けて研究成果をまとめる準備が整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの研究成果をまとめるために、海外学会を含む研究報告を複数行いたい。日記、インタビュー、その他の資料の整理も昨年度同様に進めたい。可能であれば、2023年度以降に出版できるように準備を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
基金として使用しているため、端数を次年度に有効使用するため。
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