研究課題/領域番号 |
19K01006
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
小林 郁 皇學館大学, 研究開発推進センター, 助教 (90779654)
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研究分担者 |
谷口 裕信 皇學館大学, 文学部, 准教授 (10440835)
浦野 綾子 皇學館大学, 研究開発推進センター, 助教 (30825774)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 史料研究 / 伊勢神宮 / 神宮御師 / 伊勢信仰 / 墓石群調査 / 考訂度会系図 / 参宮人帳 |
研究実績の概要 |
当年度は、①調査対象資料の保存環境整備、②古文書・書籍(和本類)調査、③橋村氏墓石群の調査、④企画展開催による研究成果の一部公開を主とした。 ①古文書(A群)・書籍(B群)・雑(D群)の清掃が完了し、軸類(C群)の清掃を開始した。古文書・書籍調査の際に清掃が甘い資料を発見した場合は、適宜再度清掃を行った。また、当該資料を保管している収蔵庫の整理作業に伴い、保存箱の入れ替えを行うなど保存環境を整えた。 ②古文書調査を計10回行い、比較的纏まりのある近世~近代文書約1000通の調査が終了した。前年度(令和2年度)に発見した近世の外宮摂社田上大水神社に関する資料の調査が本年度で完了し、「A-4」として分類した神宮御師関連の資料が集中している文書箱の整理に着手した。書籍(和本類)調査については計26回行い、『考訂度会系図』の編者の一人として重要視されている橋村正克の関係資料(自筆本等)をはじめ、「B-5」~「B-17」に分類した和本の調書作成を行い、概算100冊以上の調査が終了した。また、古文書・和本の調査カードのデータ打ち込みを進めた。 ③当年度は、計5回の調査を行った。墓石の写真撮影はほぼ全て完了しており、写りの状態次第で適宜再撮影を行う。拓本は、報告書に掲載予定の墓石を全て採取。実測についても全墓石の実測が完了した。拓本・実測については、報告書に向けて随時データ化する方針を固めた。銘文については、令和2年度までに全墓石の判読・データ化が終了しており、銘文一覧表・墓石配置図と現物の比較を進めた。また、これまで一部の墓石に剥離・破損が見られていたが、調査中に欠損部分を墓地周辺で発見し、関連墓石の周辺へ安置するとともに欠損部分の銘文についても判読することが出来た。 ④「伊勢参宮の先導者たち-隆盛・廃止・その後-」と題した企画展を開催し、研究成果の一部を公開した。(10/4~11/30)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は5年間の計画で、初年次~3年次は「伊勢御師橋村家関係資料」の保存環境整備・同資料群の調査および仮目録作成・他館所蔵の関係資料調査・橋村氏墓石群の調査を主な目標としている。当年度(3年次)までの進捗状況は以下の通りである。 ①「伊勢御師橋村家関係資料」のうち、古文書(A群)・書籍類(B群)・軸類(C群)の一部・雑(D群)が清掃完了しており、これは当該資料群全体の約95%に相当する。 ②古文書については3年間で約3400点の調査が終了しており、これは古文書全体の約40~50%に相当する。書籍(和本類)の調査では、橋村正克の自筆本や足代弘訓の蔵書に関わる資料の調査を行うことが出来た。また、代表者が所属する皇學館大学佐川記念神道博物館で御師制度廃止150年を記念した企画展を開催し、本研究で得られた成果の一部を展示・図録内容に盛り込むことが出来た。本年度は仮目録用の調書を作成することに比重を置き、本目録用調書と並行して作業を進めてきたが、想像以上に資料の数が膨大であることと、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響によりアルバイト(資料調査員・目録作成)が出来なくなるなど十分な調査時間が確保できず、研究の進行にやや遅れを感じていることは否めない。 ③他館所蔵の関係資料調査については、新型コロナウイルス感染症の影響により予定していた調査地(岩瀬文庫等)へ赴くことが出来なかったが、その前段階となる基礎資料調査を進めた。特に、『考訂度会系図』の編者の一人である橋村正克の関係資料(和本類)の調書作成が完了したことは大きく、橋村正克の自筆本や蔵書環境を把握するための基礎的情報となり得る。 ④墓石群調査に関しては、宰記家・主計家の墓地(全54基)のみを調査研究対象とする方針で進めている。3年間で各墓石の銘文解読・人物比定・写真撮影・実測・拓本採取がほぼ終了し、報告書に向けての準備を整えた。
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今後の研究の推進方策 |
①「伊勢御師橋村関係資料」のうち、軸類(C群)の清掃を進める。 ②文献資料の整理・調査については、引き続き古文書(A群)・書籍類(B群)の本目録用調書を作成しつつ、仮目録の作成に向けての簡易調査も並行して進めていく。また、調書のデータ入力も重点的に進め、報告書作成に向けての準備を整える。 ③墓石群の調査については、3年間で得られた情報を整理し、実測図・拓本のデータ化、墓石銘文一覧表の確認・整理、墓石写真の確認など、報告書作成に向けての準備を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年1月~3月にかけて古文書・和本の調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により数回分の調査が実施不可能となったため、次年度使用額が生じた。令和3年度の残額分については、次年度の調査費用(人件費等)に使用予定である。
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備考 |
パネル展示「伊勢参宮の先導者たち‐隆盛・廃止・その後‐」(みえミュージアムセミナー2021、10月)/依頼講演「伊勢御師とは何だったのか~御師制度廃止150年を迎えて~」(同セミナー、10月)/展覧会「伊勢参宮の先導者たち-隆盛・廃止・その後」(皇學館大学佐川記念神道博物館、10月-11月)/依頼講演「中世・近世の伊勢参宮~御師制度廃止150年を迎えて~」(四日市熟年大学、12月)ほか
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