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2023 年度 実施状況報告書

古代・中世陰陽道書の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K01009
研究機関活水女子大学

研究代表者

細井 浩志  活水女子大学, 国際文化学部, 教授 (30263990)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
キーワード暦林問答集 / 賀茂氏 / 勘解由小路家 / 賀茂在基 / 賀茂在方 / 賀茂在盛 / 清原良賢
研究実績の概要

2023年度は、この研究事業で従前より調査をしていた古谷義昭氏所蔵本『暦林問答集』を活字にして解説を付してWEB公開の学術雑誌に発表した。同書は暦道を兼ねる陰陽師である賀茂在方が著した中世の暦数書で、現在の写本は賀茂在基本系(在基は在方の孫)、賀茂在盛本系(在盛は在方の孫・在基のいとこ)、清原良賢本系(清原氏は明経道官人)の3系統に分かれる。従来重視されていた在盛本系の天理大学附属天理図書館所蔵本とはかなり異なる在基本系の、近代までの伝来過程がよくわかる未公開の古谷本を、今回は同じく在基本系の中世写本である東北大学所蔵本との字句の異同を確認して校注に示した上で公開できた。これにより在基本の姿がおおよそ確認できるようになった。また他の研究事業との関わりで古谷本作成者の陰陽師中川安元についても、幕末~明治初期の南都の暦師・陰陽師であることを明らかにすることができた。あわせて多くの研究者の間で行方不明とされていた、貴重な中世写本である文明16年(1484)の写本が慶應義塾大学に所蔵されていること、また同大学に所蔵されていた寛文3年(1663)写本(登録上は大永3年〔1523〕)の存在を、翻刻に併せて情報提供することができた。以上の成果によって従来の想定よりも同書が中世末~近世日本で広く受容されていたことがわかり、同じ時期に民間で普及していた暦数書『ホキ内伝』との比較で、日本各地域における暦注の受容・変容を検討することが可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本来は本年度で研究事業を完成させる予定であったが、写本所蔵者の事情や研究事業者の健康上の事情により、今年度は古谷本の翻刻に止まった。

今後の研究の推進方策

慶應義塾大学所蔵の清原良賢本系統の2写本の検討を進め、これまで行ってきた賀茂在基本系写本、賀茂在盛系写本との比較を行うことで、『暦林問答集』の原型とその後の展開について明らかにする。また古谷本の写真版の刊行を計画している。

次年度使用額が生じた理由

2023年度に古谷義昭氏所蔵本『暦林問答集』の追加調査を行って写真版を刊行し、併せて慶應義塾大学所蔵の文明写本と「大永3年」写本の調査を行って論文化するつもりであった。だがコロナ禍が完全に収束したとは言えない状況で、所蔵者の事情も考慮すると追加調査が躊躇された。さらに事業者自身の健康上の問題もあり研究の進展に支障が生じた。加えて勤務校の改組で国際文化学部国際文化学科が2024年度に開設されることとなり、その所属予定教員として改組関連の業務に多くの時間を割いた。さらに既存の日本文化学科主任としても多くの校務を行っていた。2024年度は2023年度に予定していた調査研究を実施する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 古谷義昭氏所蔵本(古谷本)『暦林問答集』の概要と翻刻2024

    • 著者名/発表者名
      細井浩志 中村琢
    • 雑誌名

      国立歴史民俗博物館研究報告

      巻: 247 ページ: 153-184

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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