本研究では、清代モンゴル文文書資料を用いて、外藩モンゴルの盟旗と清朝駐防官衙との間の行政事務処理様態を事例的に研究した。内モンゴル・オルドス・イヘジョー盟ハンギン旗を事例として、同治年間の同旗の来文目録及び来文档冊を用いて、同旗の文書処理態勢、来文の月平均数、来文の発出衙門の分布および来文送達にかかった日数を解明した。この結果、この時期の旗の文書行政は、基本的に上部の盟長と垂直的な関係により運用されており、隣接旗や清朝の駐防官衙門との直接的な文書往来は限定的だったこと、また文書を受理する衙門も盟内諸旗と直接隣接する旗に限られたこと、文書送達には10~20日程度の時間を要したことを明らかにした。
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