朝鮮半島における内水面環境とヒトの関係史を構想する一環として、朝鮮時代~近代の内水面漁撈(生物資源利用行為)の様相を復元し、対象魚種と漁法、採捕施設の分布等に関する基礎データを構築した。 さらに、自然がヒトにもたらす「資源」と「障害」の多義性・相対性を捉える試みとして、権力機関による漁撈活動が地域住民の漁撈、漁撈以外の資源利用行為との間に複雑な相克を生み、水害などの障害をも及ぼした様相を明らかにした。またヒト中心の目線から脱却した環境史理解を模索し、アユの王室献上を素材として、多様な立場のヒト、多種にわたる非ヒトの生物種、その他の環境諸要素の「絡まり合い」が状況を生み出す様相を素描した。
|