本研究は,明清期徽州の魚鱗図冊の記載様式,明代の里=図の地理的空間,魚鱗図冊による事産把握の変化を探ることによって,魚鱗図冊の新たな性格理解をめざしたものである。だが,2019年末以来,COVID-19の感染拡大によって中国での資料閲覧・現地調査ができない状況がつづいたため,目標に達し得なかった。とはいえ,同一地点における明初洪武丈量の魚鱗図冊と万暦9年丈量の魚鱗図冊の記載データを分析し,現地調査を行なえば明代の里=図の地理的空間,魚鱗図冊による事産把握の変化を明らかにできる条件を整えた。また,近年取り組んできた休寧県27都5図の農村社会研究の成果を学術書として出版する準備を整えた。
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