本研究では、1910年代の独立国家形成期におけるモンゴル国の関税政策について、制度と実態の両面から考察した。1911年に清朝から独立を宣言して誕生したモンゴル国において、関税収入は帝政ロシアからの借款を除いた国家歳入の70%から80%を占めていたとされる。しかしながら、本研究により新たに発見されたモンゴル国所蔵の史料によれば、実際にはその割合はより高く、関税の徴収額も時間を経るごとに増加していったことが明らかになった。その背景には、規則の抜け穴をかいくぐる脱税に対し、規則を度々改定していった成果が考えられる。建国初期のモンゴル国は、財政の多くを関税に依存していたことが改めて確認されたのである。
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