日本でオスマン近代演劇に関する現地語史料を用いた研究は皆無であった。この研究分野を開拓した永田雄三と江川ひかりとの共著『世紀末イスタンブルの演劇空間―都市社会史の視点から』(白帝社, 2015)を基礎に、トルコ語読者向けに加筆・修正後2021年にトルコ語で研究書を出版したことは、演劇学・都市社会史研究に極めて重要な学術的意義をもたらした。トルコ人による本書の書評では、日本人研究者が、オスマン演劇ポスターを解読し、都市社会史という視点から日本演劇と比較・対照しつつ考察した点が高く評価された。基礎史料として用いた演劇ポスター170点の基本情報をデータベース化し、研究成果として発信している。
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