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2021 年度 実施状況報告書

五一広場東漢簡牘よりみた後漢時代の在地社会

研究課題

研究課題/領域番号 19K01027
研究機関公益財団法人古代学協会

研究代表者

飯田 祥子  公益財団法人古代学協会, その他部局等, 客員研究員 (30769211)

研究分担者 角谷 常子  奈良大学, 文学部, 教授 (00280032)
鷲尾 祐子  立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (60642345)
高村 武幸  明治大学, 文学部, 専任教授 (90571547)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード中国古代史 / 五一広場東漢簡牘 / 出土文字資料 / 後漢 / 行政文書 / 文字知識 / 長沙 / 地方統治
研究実績の概要

2021年9月に『五一廣場東漢簡牘(伍)(陸)』が出版された。既刊テキストとあわせて、研究課題の主対象となる史料群は約2700点公開された。引きつづき、これを底本として研究に取り組んでいる。テキストデータを作成し、データベースに追加拡充した。固有名詞索引、及び関連簡情報・文書冒頭一覧等のデータの整理拡充も行った。
輪読会はオンラインで月2回、安定的に開催している。第1層出土簡の有文字簡約90点の読解を終え、成果を五一廣場東漢簡牘研究會「長沙五一廣場東漢簡牘譯注稿(五)(六)暫定版」として、HP五一廣場東漢簡牘研究會に公開した。現在は、第2層出土簡を輪読しており、「同(七)」公開準備をすすめるとともに、第1層「確定版」公開に向けた整理を行っている。また分担者の研究報告会を開催することもできた。
代表者個人の成果としては、「五一廣場東漢簡牘にみる後漢中期の人の移動と管理」(『東洋史研究』81-1、2022年6月刊行予定)を執筆し、現在校正中である。昨年刊行された「五一広場東漢簡牘の上行文書に関する基礎的整理」(『龍谷史壇』151・152、2021年)は、新公開史料(『伍』『陸』収録簡)による知見を加え、一部修正を施し、漢検漢字文化研究奨励賞(公益財団法人日本漢字能力検定協会)に応募し、佳作を受賞して、『漢字文化研究』12号(2022年)に掲載された。
後漢時代の在地社会を検討する上で、文献史料の理解が不可欠であるので、『後漢書』等にみえる地方統治に関する記述を再検討するとともに、代表者自身の文献史料に基づく既発表論文の見直しを行い、後漢時代史理解に関する見通しを得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通りではないが、計画を見直し、予測していなかった成果を得ている。
・史料の公開状況について:『伍』『陸』の刊行が遅れ、9月になった。2022年春に7・8巻が刊行され、公開史料が半数を超えることを期待していたが、今のところ、出版に関する情報はない。コロナ禍の影響ゆえか、公開状況は順調ではない。その分、公開済みの史料を精査することができた。また後漢時代史史料・研究状況について、再検討を行うことができた。
・史料の内容について:当初期待されていたほど、情報量の多い幅広木簡は多くない可能性がみえてきた。零細な竹簡が多く、竹簡をどう扱うかが問題になる。文字情報への関心が強い中国語圏の研究者の関心は低調のようであるが、代表者はDB化することで、零細な史料をも活用する方法を構築できている。
・周辺史料との関係について:後漢時代史に関する文献史料及び、研究状況を再検討し、また三国魏晋簡牘史料に関する研究状況について検討する機会を得た。それにより、秦漢史と魏晋史の「分断」状況について知見を得、本史料群が「分断」を埋める意義を持つものであることを明確にした。
21年度に計画を見直して以降の、史料読解については、予定通り順調に進展している。

今後の研究の推進方策

年度内に『五一廣場東漢簡牘』の7・8巻が刊行されることが期待される。刊行され次第、入手して、DB等の拡充を行う。
輪読会をオンラインで実施することの有効性が明らかになったので、今後もオンラインで開催してゆく。第2層出土簡の講読終了の後は、第3層出土簡にすすむ。研究協力者として参加している若手研究者を含め、研究報告会を開催したい。
第1層出土簡の訳注稿確定版を公開する。レポジトリに対応している学会誌に投稿する方針である。第2層出土簡の訳注稿は当面「暫定版」としてHPに公開する。また史料整理上で得た知見を箚記にまとめてHPで公開することも検討している。
五一簡について、竹簡の整理が不充分である。竹簡の全面的な整理検討を行いたい。木両行文書・木牘文書それぞれとの使い分けを明確にすることが目標である。
後漢時代の政策について、五一簡と文献史料から検討を行う。五一簡は県で作成されたものであるが、上級の郡の介入を受けていることが明らかである。同様の動きは文献史料においても確認でき、中央の政治姿勢を受けている可能性がある。従来、後漢中期以降、中央は地方行政に関心を低下させるとの理解があるが、そのような理解を再検討する方針である。

次年度使用額が生じた理由

輪読会をオンライン開催としたため、移動にともなう旅費が支出されなかった。また計画当初においては、21年度に長沙に調査に行く予定であったが、コロナ禍により断念せざるをえなかった。 現時点でも中国渡航への目処はたっておらず、不透明である。
一方で、想定外に五一簡輪読と、その他史料に関する研究成果がでており、これを公開する必要がある。そのために活用する予定である。
また研究協力者も含め、史料書籍へのアクセスに支障のないよう、環境を整える必要があり、書籍購入に使用することを計画している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 五一広場東漢簡牘の上行文書に関する基礎的整理2022

    • 著者名/発表者名
      飯田祥子
    • 雑誌名

      漢字文化研究

      巻: 12 ページ: 7-29

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 五一廣場東漢簡牘にみる後漢中期の人の移動と管理2022

    • 著者名/発表者名
      飯田祥子
    • 雑誌名

      東洋史研究

      巻: 81-1 ページ: 34-68

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 長沙五一廣場東漢簡牘譯注稿(五)暫定版2021

    • 著者名/発表者名
      五一廣場東漢簡牘研究會
    • 雑誌名

      HP五一広場東漢簡牘研究会https://goitinokai.jimdofree.com/

      巻: - ページ: 1-16

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 長沙五一廣場東漢簡牘譯注稿(六)暫定版2021

    • 著者名/発表者名
      五一廣場東漢簡牘研究會
    • 雑誌名

      HP五一広場東漢簡牘研究会https://goitinokai.jimdofree.com/

      巻: - ページ: 1-25

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 里耶秦簡における官職名の非表示2022

    • 著者名/発表者名
      角谷常子
    • 学会等名
      AA研共同利用・共同研究課題 秦代地方県庁の日常に肉薄する―中国古代簡牘の横断領域的研究(4)
  • [備考] 五一広場東漢簡牘研究会

    • URL

      https://goitinokai.jimdofree.com/

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公開日: 2022-12-28  

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