研究課題/領域番号 |
19K01029
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研究機関 | 小山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
長峰 博之 小山工業高等専門学校, 一般科, 講師 (00825672)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ジョチ朝(キプチャク・ハン国) / 後期ジョチ朝諸政権史料 / 歴史認識 / モンゴル帝国 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ジョチ朝(キプチャク・ハン国)の継承政権(後期ジョチ朝)において著された諸史料の分析により、それらからモンゴル帝国時代に関する歴史的知識を抽出すること、また、後代がいかにモンゴル帝国時代を認識していたか、チンギス家(ジョチ家)の権威がいかに保持され、あるいは変容したかを明らかにすることにある。初年度は、クリミア・ハン国およびヴォルガ・ウラル地方の諸史料の写本調査・史料収集を行い、その成果をふまえた研究発表を国内外で行った。 1.写本調査・史料収集 ウクライナ国立図書館(キエフ)、カザン大学図書館(カザン)において、クリミア・ハン国およびヴォルガ・ウラル地方の諸史料の写本調査および史料収集を行った。 2.研究成果の公表 Zolotoordynskoe obozrenie/Golden Horde Reviewに“Eshche raz o sochinenii Kadyr-ali-beka (Dzhami at-tavarikh/Sbornik letopisei)”が掲載された(3月)。口頭発表としては、“Sygnak: port Dasht-i Kipchak”(VI Mezhdunarodnyi zolotoordynskii forum. カザン、6月)、「ヴォルガ・ウラル地方の歴史叙述におけるチンギス家イメージの変容をめぐって」(日本アルタイ学会、7月)、“O dzhadvare v parizhskoi rukopisi Muntakhab at-Tavarikh-i Muini(Saryarka i Altyn Orda: Vremya i prostranstvo. カラガンダ、10月)、「『テュルク系譜』エディンバラ写本補足のクリミアのハンたちに関する記述について」(内陸アジア史学会、11月)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
写本調査の成果をふまえた口頭発表を行い、その一部を論文として投稿することができたが、まだ公表されるにはいたっていない。また、ヴォルガ・ウラル地方の諸史料の写本調査・史料収集は順調に進めることができたが、クリミア・ハン国史料の写本調査・史料収集をじゅうぶんに行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に収集した諸史料の分析を進める。イスタンブルおよびサンクト・ペテルブルグにおいてクリミア・ハン国史料の写本調査・史料収集を行い、モンゴル帝国時代に関する歴史認識のあり方、変容を分析する。その成果は国内外の学会において発表する予定である。また、無名氏『ダフタリ・チンギズ・ナーマ』をはじめとするヴォルガ・ウラル地方の諸史料の分析を進め、それらに潜む歴史的知識や歴史認識に関する研究を公表したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
イスタンブルでの写本調査を実施できなかったため。次年度使用額はイスタンブルでの写本調査費にあてたい。
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