研究課題/領域番号 |
19K01030
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
苅谷 康太 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (70634583)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イスラーム / 西アフリカ / 初期ソコト・カリフ国 / ジハード / 奴隷制 |
研究実績の概要 |
2019年度に引き続き、2020年度もナイジェリアにおけるアラビア語・ハウサ語資料の調査を予定していたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、中止を決定した。しかし、調査の準備と実施に必要となるはずであった時間を、これまでに渉猟・蒐集してきたアラビア語・ハウサ語著作などの諸資料の分析にあてることができ、研究成果公開のための論文執筆や口頭発表の準備にもこれまで以上の力を注ぐことができた。 アフリカ・イスラーム研究の領野において重要な国際学術雑誌の一つであるIslamic Africaに昨年度投稿して採択が決定した論考は、幾つかの細かい修正を加えた上で、今年度12月に刊行された。本論考は、ソコト・カリフ国の奴隷制に関連するイスラーム法学の問題を検討したものである。また、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所発行の『アジア・アフリカ言語文化研究』(Journal of Asian and African Studies)には、ソコト・カリフ国の第2代カリフであるムハンマド・ベッロが著した戦争捕虜と奴隷の扱いに関するアラビア語著作についての論考を投稿し、同誌101号において採択された。更に、初期ソコト・カリフ国の支配層の思想と、15-16世紀の北アフリカのイスラーム知識人であるムハンマド・アル=マギーリーの思想との関係性に関する新たな論文を執筆し、Islamic Africaに投稿するができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年度の海外調査は中止せざるを得なかったものの、資料の分析と研究成果の公開が当初予定していた以上に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、新型コロナウイルスの世界的な感染状況を注視しながら、ナイジェリアにおける文献資料調査実施の可能性を検討する。ただし、調査実施の可否に拘らず、これまでに蒐集・渉猟した資料の分析を進めながら、2020年度までと同様、着実に研究成果を公開していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって計画していたナイジェリアでの現地調査を遂行できなかったため、次年度使用額が生じた。これは、2021年度にナイジェリアでの資料調査が遂行可能になった場合、その旅費の一部にあてる。現地調査遂行が難しい場合には、資料購入・複写のための物品費やその他として使用する予定である。
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