研究実績の概要 |
最終年度となる2022年度は、これまで進めてきたアラビア語史料群の分析をもとに、研究成果の発表に力を注いだ。最も大きな成果は、アフリカ・イスラーム研究の国際的なリーディング・ジャーナルの一つであるIslamic Africaに採択された論考である(Kota Kariya, “Reconsidering the Intellectual Relationship between Muhammad al-Maghili and ‘Uthman b. Fudi: A Comparative Examination of Ajwiba and Siraj al-Ikhwan,” Islamic Africa, vol. 13, issue 2 (2022), pp. 251-282)。この論考では、従来の研究で論じられてきた、マグリブの学者ムハンマド・アル=マギーリーとソコト・カリフ国のウスマーン・ブン・フーディーとの思想的・知的関係の在り方を再検討し、後者が前者の思想を巧みに再編することで自身の主張の正当化を図ろうとしていた事実を具体的なテキストの分析から明らかにした。また、ウスマーン・ブン・フーディーの後継者ムハンマド・ベッロがイスラーム法において認められている一夫多妻制について論じたアラビア語著作を複数の写本に基づいて校訂し、解説を付した論考(Kota Kariya, “A Treatise on Polygamy and Concubinage in the Early Sokoto Caliphate: Muhammad Bello’s al-Qawl al-Man‘ut,” Journal of Asian and African Studies, no. 105 (2023), pp. 31-45)も東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所が発行する『アジア・アフリカ言語文化研究』(Journal of Asian and African Studies)に査読を経て採択された。
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