研究課題/領域番号 |
19K01038
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
春田 晴郎 東海大学, 文化社会学部, 教授 (90266354)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | パルティア / イラン |
研究実績の概要 |
2020年度の研究実績の概要として以下を挙げることができる。 1.2020年11月にオンラインで行なわれた国際会議 Online International Conference for the Iranian Archaeological Webinar, 2020 において、“An Attempt to Decipher the Parthian Inscription on the Vologases' relief at Bisotun, Iran: With the Help of Retrospective Photogrammetry”の題目で研究発表を行なった。イラン国立博物館所蔵資料を直接用いているわけではないが、本研究課題の主要な研究方法であるフォトグラメトリーを用いてのパルティア期碑文解読に向けての試論である。浅く彫られ風化も進んでいる2千年近く前の碑文に Retrospective Photogrammetry を用いる際の限界を指摘し、にもかかわらず従来の読みに替わる解読も部分的には可能であることを示した。 2.2021年1月に開催されたオンライン研究会、第2回中東・オリエント建築研究会(オンライン) において「パルティア・サーサーン朝期イランおよび周辺地域の建築」の題目で発表を行なった。本研究課題の背景となるパルティア期の都市のあり方についての考察もこの発表で行なった。 3.エリュマイス王国の碑文付浮彫が複数存在するイーゼ盆地の重要性を論じた論文(英文とペルシア語訳)が2020年度中に刊行されたが、制裁のため現物を入手できていないので、次年度(最終年度)の報告書で触れる。また、2019年度に刊行されたが昨年の報告書作成段階で確認できなかった共著論文(パルティア語碑文解読を担当)についても、研究成果報告書で触れる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の内容面では、上述「研究実績の概要」のように順調に推移している。撮影資料に対して3D化を行なう(フォトグラメトリ―)ソフトウェア等についても(なお増強する必要はあるが)備えている。一方、イランに赴いて研究を行なうことは少なくとも困難と判断し、既発表資料や既撮影資料を有効に活用して、とくにパルティア期碑文について有益な貢献を行なうように方針を転換した。オンライン国際会議で発表した“An Attempt to Decipher the Parthian Inscription on the Vologases' relief at Bisotun, Iran: With the Help of Retrospective Photogrammetry”はその一例であり、この方針にしてから研究はおおむね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
パルティア期碑文について、Retrospective Photogrammetry が可能なものについて集成を行ない、碑文の解読を進める。現地にある(in situ)浮彫碑文についてイラン側研究者と連絡を取りながら、オンラインでの発表ならびに論文投稿を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
外国旅費および国内旅費を全く使用できなかったため、一部を図書費等にあてたが、残額が生じた。最終年度、持ち越し分は機器(データ分析用PC)およびソフトウェア、研究成果報告書印刷費等に充当する予定である。
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