研究課題
基盤研究(C)
朝鮮開港後の日本人漁業者の活動や海産物輸出、その朝鮮社会への影響について研究を実施した。(1)1900年に成立した朝鮮海通漁組合連合会が、政府による一方的な働きかけの結果として形成されたわけではなく、漁業者自身の人的なネットワークと相互の交流をベースとして成立したことを明らかにした。(2)朝鮮開港後の重要な対日輸出品となった海藻に注目し、その輸出に携わった商人たちの実態について、近世の倭館貿易からの連続性に注目して明らかにした。
東洋史
朝鮮開港後の日本人の朝鮮出漁や海産物の対日輸出は、これまで日朝間の非対称な国家間関係を反映した面が特に注目されてきたが、その実態を近世以来の日朝関係の連続性や、朝鮮固有の経済活動の秩序のなかで捉え返したことで、日朝関係の歴史をより多面的かつ重層的に理解する視点を提供することができた。