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2021 年度 実施状況報告書

出土史料と文物考古資料からみた古代チベット帝国の文書行政と国家体制の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K01043
研究機関龍谷大学

研究代表者

岩尾 一史  龍谷大学, 文学部, 准教授 (90566655)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード吐蕃 / 古代チベット / 敦煌文書
研究実績の概要

・本年度は古代チベット帝国支配下で作成された公文書と、文書に押された公印・私印の事例を収集し、その内容分析と印の分類についての研究を進めた。特に中国国家図書館所蔵の古チベット語文書には今まで存在を知られなかった公印をいくつか発見することができた。現存する印影とその内容分類、公印を発行した行政機関、さらに公印が押された公文書との関係などについては、2022年7月に開催される国際チベット学会(16th Seminar of International Association for Tibetan Studies)にて発表する予定である。さらに、得られた成果の一部を古チベット語オンラインデータベースOld Tibetan Documents Online(https://otdo.aa-ken.jp/)に公開することができた。今後もオンライン上にて成果の公開を進める予定である。
・公印が押された公文書の分析にともない、辺境にありながら例外的な権力を有したkhrom chen poについて研究を行った。khrom chen poが発出した命令に言及した文書は写しも含めて3点存在するので、その内容と行政手続きについて整理し、その上でチベットと唐の戦争史とを重ね合わせ、khrom chen poが実際には何処に置かれたのか、またなぜ例外的に大きな権力を有していたのかについて結論を得た。結論の一部はオンライン上での講演にて2022年4月に公開し、今後は講演の内容を文章化して発表する予定である。
・文書管理の研究により得られた知見をもとに、古代チベット帝国の行政システムについて概説を発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

・古チベット語行政文書の網羅的調査は、コロナ禍のもと現地調査はできないものの、順調に進展している。その成果に基づき古代チベット帝国の行政体制について概括する論文を出版することができた。今後、その成果を研究会などで発表する準備を進めている
・当初の研究予定であった古代チベット帝国の公印・私印研究について、現在も事例収集を進めている。収集した事例をオンラインデータベースに載せるためのフォーマットがOTDO(Old Tibetan Documents Online)上に完成し、すでに一部は公開をすることができた。今後、このフォーマットを利用しつつ公開を進めていく段取りができている。
・コロナ禍により当初予定していた現地での文書調査を行い得ておらず、今後も状況次第では引き続き調査ができない可能性も高い。しかしInternational Dunhuang ProjectやGallicaなどオンラインデータベース上で公開されている文書写真を十分に活用しつつ研究を進めることができており、今のところ問題はない。今後も文書調査に備えて事前の研究を進めていく予定である。

今後の研究の推進方策

・コロナ禍の世界的感染に伴い海外渡航が困難な中、本年度に現地におもむき文書を調査することはおそらく難しい。今後状況が改善すればすぐに調査を実施する予定であるが、もし調査が不可能な場合については、来年度に研究予算を繰越した上で、文書調査を行うことを考えている。
・サンクトペテルブルグのロシア科学アカデミー東洋写本研究所に所蔵された古チベット語文書については、昨今の情勢からみて数年単位で実地の調査ができない可能性が高い。そこで必要があった場合には同研究所の所員に協力を仰ぎ、写真の取り寄せなどできる限りの措置を講じて研究を進めることを考えている。

次年度使用額が生じた理由

・コロナ禍において当初予定していた海外調査や国際学会参加ができなかった。そのための費用の一部を次年度使用額とした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Gog cu as Tibetan Buddhist Site of the North-Eastern Amdo Area during the Post-Imperial Period2021

    • 著者名/発表者名
      Kazushi Iwao
    • 雑誌名

      Revue d'Etudes Tibetaines

      巻: 60 ページ: 161-173

    • 査読あり
  • [学会発表] Digitization and Text Database: From the case of Old Tibetan Studies2021

    • 著者名/発表者名
      Kazushi Iwao
    • 学会等名
      Invisible East
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 岩波講座世界歴史06 中華世界の再編とユーラシア東部 4~8世紀2022

    • 著者名/発表者名
      荒川正晴
    • 総ページ数
      311
    • 出版者
      岩波書店

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公開日: 2022-12-28  

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