研究課題/領域番号 |
19K01046
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研究機関 | 神戸女学院大学 |
研究代表者 |
小林 隆道 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (40727335)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中国史 / 文物 / 政治史 / 士人 / 美術資料 |
研究実績の概要 |
3年目となる当該年度は、前年に分析した美術資料の現地調査を行い、それ踏まえた再検討及び発表を予定していたが、新型コロナウイルスの影響の長期化により海外調査ができず、当初の予定を遂行できなかった。美術資料を扱う際には、その実見が不可欠となる。しかし、それが研究期間中に難しいと判断し、新たな視点を組み入れた文献資料分析を行った。その新たな視点のひとつが「隠逸」である。本研究で以前から注目していた牟ケン(1227-1311)も、元初における南宋遺民であり、「隠逸」と言える。またその牟ケンが跋文作成者として関わった北宋・范仲淹の書法作品「伯夷頌」も、伯夷・叔斉という古代を代表する「隠逸」である。ここに文物の作成及び鑑賞において、官界から離れた「隠逸(隠者)」の存在の重要性が看取される。本研究では、文物を単なる美術作品としてだけではなく、多分に政治性を含むものとして位置づけ、それを通し文化と政治の関係を探ることを目的としている。その文物に、政治・世俗権力を避ける「隠逸(隠者)」が具体的にどのように関わっていたのかは極めて重要な論点となる。そこで、まずは宋代において「隠逸(隠者)」全体がどのように位置づけられていたのかを、史料読解と先行研究整理から探った。 上記のように、当該年度は基礎研究に立ち戻っての研究となったため、研究成果を発表する段階には至らなかった。しかし、現状でできることを考え研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響の長期化により、当初予定していた調査・出張等が実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまで海外での調査を行える時期が来るのを待っていたが、かなり難しい状況にあるため、新たな視点を取り入れて文献資料からの分析に注力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度からの繰越金を現地調査に当てることを考えていたが、新型コロナ感染症の影響の長期化により実行できなかったため。 美術資料を扱う際には現物の実見が不可欠であるが、現地調査ができないことを前提にし、新たな視点を加えて研究手法を見直して研究を進める。 そのため、研究期間の延長も考える。
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