研究課題/領域番号 |
19K01048
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小田中 直樹 東北大学, 経済学研究科, 教授 (70233559)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フランス / 現代地方都市史 / 都市化 / 都市計画 |
研究実績の概要 |
2020年度は、研究対象地域であるニーム(フランス、ガール県)を訪問し、ニーム市文書館およびガール県文書館において、研究テーマである市郊外に位置する3つの集合住宅地域(シュマン・バ・ダビニョン、マス・ド・マング、ZUP)に関する資料を検索・収集・撮影したうえで、それらの分析を進める予定であった。しかしながら新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延に伴い、ニームを訪問することが不可能となった。 それゆえ、これまでニーム市文書館で収集した部分的な資料の分析を進めることを研究の中心とせざるをえなかった。その結果、ニームにおいてこれら集合住宅地域が(いわゆる)ゲットー化してゆくことの背景には、ニーム市当局が同市の人口動態予測を大きく間違っていたこと、それに伴い、市当局が中心となって制定した各種都市計画、とりわけそこにおける「都市軸」の設定が、ニームの都市化の現実とかい離してゆくことがあったのではないか、という着想を得ることが出来た。 また、ニームを対象とする研究を進めることが困難であることから、以前に資料分析や理論的検討を進めていた(1)モンペリエ(エロー県)に位置する集合住宅地域であるラ・ペルゴラに関する実証的な研究、および(2)これらローカル・ヒストリー研究とナショナル・ヒストリーの関係を明らかにする理論的な研究を進め、おのおの、エロー県を対象とするローカル・ヒストリー雑誌および国際学術雑誌に投稿し、ともに掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前述したが、本研究はニーム市文書館およびガール県文書館における資料のチェックが出来なければ着実な進展が見込めない性質をもっている。もちろん所蔵資料が(一部の文書館のように)デジタル化・オンライン公開化されていれば、日本国内にいてもアクセス可能であるが、両文書館の資料はデジタル化されていないので、現地に行かなければアクセスは不可能である。しかしながら、2020年度はン方コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、これら作業は不可能となった。そのため、2020年度以前に収集した不十分な量の資料を分析することしかできず、一定の着想は得られたものの、その成否を明雅にするための資料チェックはおこないえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
・新型コロナウイルス感染症が収束に向かい、ニーム訪問が可能になれば、ただちにニーム市文書館およびガール県文書館における資料チェックを再開し、そこから得られた有意味な資料を分析する。 ・収束が見通せず、ニーム訪問がひきつづき不可能である場合は、手持ちの資料の分析を進め、そこから得られた着想を、先行研究のアーギュメントなどと突き合わせることにより、一定の知見を得ることを試みざるをえない。 ・また、研究期間の延長を申請することも視野に入れている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ニーム市文書館およびガール県文書館(ともにフランス)において資料チェックおよび収集をするための旅費を確保していたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延のためフランス訪問が不可能となり、旅費の執行が出来なくなったためである。 2021年度において、同感染症の流行が収束し、フランス訪問が可能になった場合は、可能なかぎりの頻度・期間でニームを訪問・滞在し、資料のチェックおよび収集に努める予定である。同感染症の流行が十分に収束せず、ニーム訪問が不可能となった場合は、2022年度に繰り越すことも想定している。
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