研究実績の概要 |
今年度は本研究プロジェクトの初年度にあたる。提出した研究計画に沿って長い18世紀のイギリスにおける軍事啓蒙を形成した要素のうち、軍事技術・理論の側面について研究を行った。 まず、軍事解説書については「18世紀出版物オンラインデータベース(ECCO)」をもとに著作数が多く影響力の大きな著者としてトマス・サイムズ(生没年不明)とヘンリ・ロイド(c.1718-83)など)を取り上げ、それぞれの著作を収集し内容を分析した。また前者については4つの著作に予約購読者リストが付されているため、そこに記録されている個人・団体について集計し、サイムズを取り巻く知識伝達のネットワークについても考察した。 次に、ウーリジ士官学校における教育内容や人的ネットワークを分析するために、同学校の規則集および当学校の公文書をまとめた資料集(Records of the Military Academy, 1741-1892, Woolwich, 1892)を読み込み、その内容について分析を進めた。 以上の成果の一部は、Satoshi Tsujimoto, 'Military history from a wider perspective: recent scholarship on the British army and society in the long eighteenth century', 『東洋大学人間科学総合研究所紀要』22号、2019年10月、63~75頁において発表した。 一方、当初計画していたイギリスでの史料調査については、2019年秋に台風のため、2020年春に新型コロナウィルス感染症のため行うことができず、次年度以降に延期することとした。
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