研究課題/領域番号 |
19K01085
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
石橋 悠人 中央大学, 文学部, 教授 (90724196)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | グリニッジ天文台 / メルボルン天文台 |
研究実績の概要 |
本年度はオーストラリアのメルボルン天文台に関する史料の調査と分析を中心に行った。その具体的な成果は、現在執筆中の単著にまとめることができた。メルボルン天文台はヴィクトリア植民地における時間秩序や自然科学研究の重要拠点として発展し、イギリスから様々な装置や観測機器を導入して、周辺地域に正確な時間を伝える役割を果たした。ロンドンのグリニッジ天文台との連携も緊密であり、このネットワークを媒介に機器や時報装置・望遠鏡の技術的な移転が行われている。メルボルン天文台のアーカイブズ史料を分析した結果、帝国の天文学のネットワークが、植民地世界における時間の正確化や標準化を促していたことを解明することができた。
当初の予定では、どのような装置が主にロンドンから植民地に移植され、その過程にグリニッジ天文台がいかにして関与したかを調査することを計画していたが、本年度はメルボルン天文台を事例にこの作業を実施することができた。また、このような技術移転を可能にする要因として、トランスナショナルな科学・知識・技術の移動を、出版物・専門家・装置・書簡などの移動の実態を明らかにすることができた点も実績として指摘しておきたい。そして本国の科学機器・時計メーカーの役割を検討し、各植民地で利用されていた技術の諸相に具体的に迫ることができた点も大きな成果と言える。このような研究の成果は、近代的な時間意識の形成と帝国の拡大の密接な関係を具体的に示すものとして、少なからぬ意義があると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画どおり、植民地の天文台に関する一次資料を詳細に分析することができたため、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は本年度が最終年度にあたる。今後もグリニッジ天文台を中核とするイギリス帝国の科学的ネットワークを実証的に検討することが重要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた海外での史料調査に遅れが生じたため、研究成果のとりまとめに時間を要した。そのため、次年度に研究成果のとりまとめ(具体的には英文校閲費や追加の資料調査)に残額を使用する予定である。
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